ポリヴェーガル理論に基づく安全感の創出「励ましより大事なこと」 | HSP2.0・育成者、支援者、サポート者のための〜非認知能力アップ実現のためのポリヴェーガル理論理解

HSP2.0・育成者、支援者、サポート者のための〜非認知能力アップ実現のためのポリヴェーガル理論理解

敏感、繊細、感受性の高いHSP(highly sensitive person)が、生まれ持った感性と強みを仕事に活かして生きていくことをサポート。
日本で最初にHSPとポリヴェーガル理論を結びつけ、生きづらさは自律神経系のケアで解消できることを説いている。

・国家資格キャリアコンサルタント

・Gallup認定ストレングスコーチ

・TRE(トラウマ&テンション・リリース・エクササイズ)国際認定アドバンスプロバイダー

・自我状態セラピー(パーツ心理学)セラピスト 

皆川公美子です。

これまでにのべ7,000名ほどの方のご相談を伺ってきました。

 

 

今日もHSPさんをサポートする方々への記事です。

 

感受性が高い人々(HSP)へのコミュニケーションは、彼らが感じる緊張を和らげ、

リラックスした状態を促進するためにとても重要な要素です。

 

面談・セッションなどでどんなコミュニケーションをとるかということを意識したことはありますか?
ポリヴェーガル理論を交えながら解説してみようと思います。

 

 

 

 自律神経系の基礎

 

自律神経系は大きく分けて、交感神経と副交感神経の二つの部分から構成される、これはもう誰でもご存知のことでしょう。

 

交感神経は「戦うか逃げる」の反応を制御し、ストレスが高まると活性化します。

え====!!!

くそーーーーーっ!!

など叫んでいるとき、または叫ばなくてもその言葉を考えて激昂しているときの状態です。

 

 

これに対して、副交感神経は「休むと消化する」の反応を担い、リラクゼーションと回復を促します。

「あ〜〜〜今日も終わった。お疲れ様あたし。」

とか

「まあ、いいじゃん、ぼちぼちいこうよ」、という心持ちでいるとき

などです。

ゆったりしたマインド、身体状態が開いてぎゅっとかたまっていないほぐれた状態です。

 

 

身体と心はおもしろいほど連動しています。

 

 

 ポリヴェーガル理論の適用

 

ここからまたポリヴェーガル理論でつけくわえられた新しい理論に展開します。

副交感神経はさらに二つの異なる経路があります。

腹側迷走神経と背側迷走神経です。

 

背側迷走神経は、極度のストレスや危険が感じられるときに「フリーズ」や「シャットダウン」の反応を引き起こします。

これは、身体が過剰なストレスから自己を保護するための一種の休眠状態です。

仮死状態と表現するひともいるでしょう。

 

草原でライオンにがぶっと足をかまれたシマウマは

死後硬直のように関節ががちっと固まって動かなくなります。

この状態で、肉食動物は油断して、寄ってきたハイエナなどを

追い払いうためにその場を離れたりすることが多いため


『九死に一生を得る神経系の戦略』とも言われます。

 

ライオンがハイエナに気をとられているあいだに

シマウマは さっと生き返り
タタタタタタタ=======と走って逃げる、

そんな光景はサバンナではよくあることなのです。

 

死んだフリと言われることもありますが

意識的にやっているのではなく、身体反応として出ます。

 

 

 人間にもこのフリーズ、シャットダウンの機能が備わってます。

ときに、何か言おうとして涙がでたり、

何かやろうとして動けない感覚が出ることはありませんでしょうか?

え??

人間はガブっと噛まれないよ?
 
と思われましたか?
 
生命的な危機反応として
社会的な恥や罵声、誰かの怒鳴り声
または
怒っている雰囲気だけでも
HSPの場合はこの「フリーズ」や「シャットダウン」の反応が起こることがあります。
 
これは、身体が
 
「いま、九死 の状態」

 

と察知した状態であって、

頭で考えたわけではありません。
 
ポリヴェーガル理論の創始者:ポージェス博士によれば

「ニューロセプション」という

外界の安心安全を察知するシステムによって
自動的に行動が生まれてしまう、というのです。
 
要するに
 
「意識的ではない、危険の評価」
 
道を歩いていて、怪しい雰囲気の人が来たときに
言葉よりさきに
 
「あっ」というヒヤッとした体感がくる、
 
あの感覚を思い出せるでしょうか。
 
「あの人はちょっと汚らしい洋服を着ているし、なんだか手が汚いわ」などと言葉で思う前に
ひやっがくるということです。
 
動物の命のしくみとして
上記のようなフリーズやシャットダウンと言う状態がありえることを
覚えていてくださいね。
 

【ニューロセプション=皮質経路を巻き込む知覚と、自律神経系の認識方法であり皮質下のプロセスであるニューロセプションをはっきり区別している。(Porges,2003 2004)】

 

 

 

 コミュニケーションの重要性

 

HSPの場合、日常の刺激が交感神経を過剰に刺激してしまい、緊張やストレスを引き起こすことがあります。

または逆に フリーズしてしまうことも多いでしょう。

神経状態として「最適な覚醒領域」と言いますけれども

 

過度に緊張してもいない

過度に凍りつくこともない

 

そういう雰囲気を作ることが

思ったよりずっと重要だということです。


いきなり核心をつく質問を繰り出していませんか?

ひやっとする瞬間があると

身体の安全感が一気に失われます。

 

そのため、言わずもがなですが心地よい安心できるコミュニケーションは必須ですね。

 

サポートの現場では以下のようなことも潜在的に(いちいち説明したりせずに)
クライアントに提供できるような訓練をしていきます。

 

  1. 静かで優しい声のトーンの使用

    • 穏やかでソフトな話し方は、HSPの副交感神経を刺激し、リラックスした状態を促進します。
      ただ、猫撫で声をだせばいいというものでもありませんよね。
      場の提供者側も心から安心している状態が必要です。
      (これはまた別の日に書きますが、神経状態は共鳴するため、サポート側が緊張を感じると
      クライアントさんも緊張します。これを協働調整といいます。
      セミナーなどで登壇者が緊張していると、聞いているこちらがわもつられて緊張しますよね!)

       
  2. 非言語的なサポート

    • 身体的な距離を適切に保つ、適度に目を合わせるなどの非言語的な行動も、安全感を提供し、リラックスを助けます。
      時々心理士さんなどで、目が隠れるほど髪の毛が長く、『目の奥』が見えない状態の人を見かけますが
      そのような風貌からどのような印象を受けますか?
      大抵は「ちょっとこわい」ですよね。

      清潔感や安心感のある身なりは最低限の常識ですが、クライアントさんの状況によって
      対面でしたら椅子の位置を真正面ではなく、90度に座るなどもできるときにはやります。
      zoomの場合はなかなか対面位置を変えるのは難しいですが、目に優しいほっとするような背景を
      セットしておくのもいいかもですね!

       
  3. 予測可能なコミュニケーションパターン

    • HSPにとって予測不可能な状況はストレスを増加させるため、何を話すかを事前に伝えるなど、
      予測可能なコミュニケーションを心掛けることがとても大切です。

      人間が安心を感じられる、条件のひとつは「予測可能」であることです。
       
      たとえばこれから何かのワークをやるときなどは

      しれっとワークに入らないで「こういうふうなワークをやってこういう手順でこういうことが起こります」
      ということをあらかじめお伝えすることも大事ですね。

       
  4. 共感の表現

    • HSPの感情を認知し、共感を示すことで、彼らが経験する感情の強度を理解しフィードバックします。
      この習慣はカウンセラーやコンサルタントの資格取得で特にトレーニングを強化された方もいらしたのでは
      ないでしょうか。

      「そんなにがんばってきたんですね」
      「その言葉はつらかったですね」

      とほんものの共感を示すことは、技術的というよりは人間としての安心感を感じていただくために
      必要なことです。
      それでなくてもHSPは平均よりずっと深い感情のヒダを持っています。
      単にお母さんがため息をついてばかりいた、という環境に対して
      思いの外傷つきの感情や身体に記憶された防衛のパターンを持っている方が多いです。
       
      まずは理解。そしてそれを聞いてそのままにしない。大事ですね。


       
  5. ポジティブなフィードバックの提供

    • 正のフィードバックは自己効力感を高め、不安を和らげるのに役立ちます。
      感受性が高い人々はしばしば自己批判的であり、ポジティブな補強はそのパターンを和らげることができます。
       
      その方ががんばってきたこと、
      張り詰めながらもなんとかやってきたこと、
      それをどれだけ認めその上に対話を構築していけるかがセッションのキモとなる場合も多いです。
       
      人は自分が認められなかったことや
      スルーされたことに傷つきます。

      わたしもこれが足りなくて失敗したセッションが過去ずっと前にありました。
      転機に際して新たなアイデアがほしいとこられたときに、ただ単に進む方向のアイデア提案をしたんです。
      要するにクライアントさんの段階を読み間違えました。
      これまでの頑張りをもっと理解の言葉として出すべき段階でした。
      クライアントさんの状態として「まだそこまでいけない」という気持ちが生まれ
      「もっと認めてほしい」「もっとわかってほしい」の気持ちのほうが大きくでてしまったときに、
      セッションは予期せぬ方向に進み感情がこじれたことがありました。




       

 

 今日の提案

 

ポリヴェーガル理論を念頭に置いた安心安全のコミュニケーションは、

HSPの日常生活における緊張を和らげ、よりリラックスした状態を促進できます。

このようなアプローチは、感受性が高いクライアントさんが他者との関係を築く上で、とてもとても大切です。

わたしたちは
「目標をかかげてそれに向かって突き進む」のをよしとされた、教育を受けてきました。

教室の前には常に「今月の目標」が掲げられ、

ネガティブな状況を言えるような雰囲気はなかった。

 

あなたは今日どんな感じ?
気持ちが向かなかったら、言ってね?


と学校で言われたことがある方はいますか?

ネガティブな状態を口にだしてもいい、
そんなときは助けてもらえる、ということこそが
安心安全の構築というスキルです。

実は人間は「褒めてもらえる」「励ましてもらえる」よりも

「困ったときに助けてもらった経験」のほうが

心理的安全の構築にとってパワーがあるということが

臨床現場ではわかっています。

それをセッションの場で丁寧につくっていけると

クライアントさんは防衛反応から離れ、

過敏な神経状態から解放されて

なんでも言ってくれる状態になりますし、

その上で作っていった対話のなかで

新しい視点に心を開いたり、気づきを得たりできます。

そう、新たな世界に向けて
自分の能力をはじめて発揮できるようになるのです。
 

HSPサポートのためのコミュニケーション術=安心安全な場の構築として、ご自身はどのようなことをやっているか
どうぞ棚卸しリストとしてご利用くださいね。

 

今日もお読みくださりありがとうございました。

 

 

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