里山と熊鈴と私(安達太良山、そしてKawaberry cafe) | 里山と熊鈴と私

里山と熊鈴と私

朝寝坊と山を愛するあなたへ。日帰り、午後のゆるゆる登山。

 拝啓

 この手紙 読んでいる

 あだたら ~ ♪

 

 というわけで、福島県の安達太良山(1,699.6m)へ。たまには、ポピュラーな山にも登りましょう。いつもより、ちょっとだけ早起き。

 

 福島松川スマートICで降りる。途中、どこかで昼飯を調達しよう、と思ったのだけど、油断していた。あだたら高原スキー場に着くまで、コンビニ1軒、見当たらないのである。

 

 これは、しまった。

 仕方なく、レストハウス内の売店でお土産物の「窯焼工房チーズケーキ」を買い、お昼代わりにする。

 

 9:00、出発。

 良い天気。とにかく、ゆっくり歩きましょう。

 ゴンドラもあるのだけど、ここは男らしく(?)、奥岳登山口からくろがね小屋方面へ地道に歩く。

 

 しばらくは森林帯の中、馬車道と呼ばれる、幅2m強の砂利道をジグザグに進む。

 

 今日の脳内BGMは、スティービー・ワンダーの名盤、『Fulfillingness' First Finale』より「Smile Please」。

 

 このコードワーク、エレピのヴォイシング、エレキギターのさりげなさ。1974年の作品なのに、全然、古びていないのは凄い。

 

 山の話でしたね。

 

 大学生と思しき2人連れと抜きつ抜かれつ。男子も女子も今は、山ウェアもオシャレだなあ。

 わたくし、上から下までノースフェイス、なあんてタイプではないので。

 ユニクロのグレーTシャツに、どっかのアウトレットで買ったカーキ色のパンツ、ブラウンのターバンという、「大地と一体化ウェア」で地味に進む。

 

 9:54、勢至平着。ちょっとわき道にそれて様子をみたけど、花のシーズンじゃないみたいで、特に何もない。灌木がどこまでも広がっている平原。

 

 10:07、峰の辻分岐。このまま直進。その直後、道の向こうに初めて安達太良山のてっぺんが見えた。 ちょっとだけ、モチベーションが上がる。

 石垣の間の管から、ジョボジョボっと水が滴っている。これが「金明水」らしい。さっそく口に含み、顔を濡らして先を急ぐ。

 

 緑の中に黄白色の火口の淵が見えてきた。

 と、ふいに硫黄のにおいがし始める、という粋な演出。近くにいたオネエサンと、つい顔を見合わせる。

 

 10:20、くろがね小屋着(※現在、営業休止中)。わあ。ものすごく、立派な小屋。410円で温泉入浴もできる。

 テラスに出ると、下から吹き上げる風が涼しい。

 

 ここに黒い鐘が吊るしてあって、それが小屋名の由来となっている。中に入ると、歴史を感じさせる、よい雰囲気。

 

 タイガース・ファッションのオジイサンが、女性2人組にやたら話しかけている。大阪から来たようだ。

 

 全国あちこち登っているベテランらしく、白馬の雪渓を超えたらどうのこうの。と蘊蓄を披露。

 

 こういう年寄りにはなるまいと誓い(笑)、小屋を後にする。

 

 ここから直登するルートもかつてあったようだけど、以前、硫化水素による事故があったようで、今は通行禁止。

 

 ガレ場をふうふう言いつつ、登る。

 

 11:19、「馬の背」着。わあ。本当に、お馬の背中みたいな土手が目の前に。その向こうに、ポコッとした山頂も見える。

 ふうふう。結構、キツい。さっき、小屋を同時に出たオネエサンは、余裕でサクサク登っていく。もう100m以上の差をつけられている。負けた。

 

 ふうふう。右手の、鉄山の荒々しい岩肌が凄い。

 

 安達太良山は1900年にも爆発。

 磐梯山は1888年に爆発。

 吾妻山はいまだにドコドコしている。福島の山は、まだまだ落ち着いていない模様。

 

 11:41、火口の淵にたどり着く。と、いきなり、この絶景。

 来てよかった。

 

 沼ノ平。荒涼たる谷を額縁に、その向こうの秋元湖・檜原湖の美しさが映える。

 

 そのまま、左に進み、山頂へ。夏休み期間ということもあって、子供連れも多い。

 ヤッホー、ヤッホーの大合唱。だが、誰かが叫ぶと間髪入れずに誰かが叫ぶので、「やまびこ」が全然、聞こえないぞ!少年少女諸君!

 

 山頂直下の広場では、沢山の人がお昼中。

 

 右側の鎖場は混んでいるので、左側の鉄梯子を登る。ゴツゴツした岩をつかみ、体を引き起こせば、そこが山頂なのであった。12:05。

 あのオネエサンは、とっくに着いていた。負けた。

 と、ごく個人的な敗北感に打ちひしがれつつ、お昼にする。チーズケーキは、ブランデー風味の贅沢なもの。こんな岩場でガツガツ頬張っちゃって、すいません。

 

 こんなことを言っては何だけど、山頂でスポンジケーキは危険。どんどん、水分を持っていかれ、水筒の残量が気になる事態(笑)。

 

 ちょっとガスってはいるけれど、目の前に船明神山、そして向こうには磐梯山が見える。

 エエ眺めです。

 

 薬師岳方面に下山。ゴンドラ経由で登ってくる家族連れと沢山、すれ違う。ズック靴の人もいるけど、そんなにカジュアルなコースでもない。かなり段差のある階段部分もあるし、こっちのコースもなかなか侮れませんね。

 

 ゴンドラ乗り場への分岐。ここも、男らしく(?)徒歩での下山を選択。

 薬師岳の展望台へ。ここから、山の姿が良く見える。

 さすがに疲れた。木製のベンチでしばし休憩。

 

 で、ここから怒涛の下山路。あんまり利用されてないみたいで、結構荒れている。道幅も狭い。

 

 背後から、熊鈴の音が聞こえる。こっちはかなりのハイスピードで進んでいるのに、鈴の音がどんどん大きくなる。結局、スキーゴンドラが見えたあたりで首位の座を明け渡した。ちょっと太目なお兄さんであった。

 

 ここでも、個人的な敗北感を噛みしめつつ、冬はスキーゲレンデとなる平原を下る。

 

 誰の 言葉を 信じ 歩けば いいの~ ♪ っと。

 

 くろがね小屋コースと合わせて、15:00、登山口着。

 まだまだたくさんの人。日帰り温泉もあって、家族連れで来てもよさそうである。

 

 さすがは百名山、安達太良山。それなりに登りごたえがあるし、山頂からの景色は素晴らしい。

 

 ゴンドラで上がるのも良いけれど、ふうふう言った末に観る、沼ノ平の絶景は忘れがたい。なので、くろがね小屋を目指すコースをお勧めしときますね。

 

 今度来たときは、箕輪山・鬼面山方面も攻めてみたいですね。体力が残ってたら。

 

 その後、福島市街まで降りる。

 本当は、土湯温泉の「空cafe」さんがお目当てだったんだけど、あえなく定休日でした。

 

 そこで、福島市No.1オシャレcafeと評判の、「Kawaberry cafe」さんへ。

 本当に阿武隈川の川べりにある。

 

 ブルーの可愛らしい外観。使われていない小屋をリノベしたとのこと。

 入って右側に厨房とカウンター。

 

 市内のケーキ屋さんの系列とのことで、スイーツも充実。必死で我慢し、水出しアイスコーヒーを注文。

 

 高い天井、ウッドの壁面に麻袋をあしらった、さりげない装飾。窓際のアヒルの置物もなごみます。いろんな形の家具もオシャレですね。

 16時過ぎ、苦戦しそうな時間帯だけど、しっかり5テーブルのうち4つが埋まっていた。ピーク時には利用時間を区切ったりもするそうだから、繁盛しているのでしょう。

 

 何といっても、7台置ける駐車場、この存在が大きい。店なんつうのは、1にも2にもロケーションである。実に、良い場所を見つけられたなあ、と思う。

 

 BGMは、50~60年代ジャズ。ポール・デズモンドなど、無難なものだった。ごく個人的には、ジョニ・ミッチェルとか、ジャニス・イアンとかがかかっても、良い雰囲気なのかなあ、と思ったのでした。

 

 とにかく、のんべりー過ごせるお店です。

 

 オシャレな感じのお店の女性が、話しかけたら思いのほか、フクシマ的に素朴な感じだったのもgoodだったのでした。

 

 川べりの風が、日焼けに火照った顔に涼しい。

 また、いつか、来ましょう。

(20160813)