4連休の初日。この間、しっかり晴れるのは、この日だけだという。
カーテンを開ければ、どんよりした曇り空。
12時ごろから晴れてくるという。
10時過ぎ、出発。いつものとおりの、おそ支度。
この時間から安全に登れる山、そして登ったことがない山。
結局、以前から気になっていた、寒風山(1,117.3m)に。
最近、ここばっかり走っている国道48号線。
西道路に合流しようとしたら、やけに渋滞している。
事故か何かで交通止めなのか、西道路から続々車が降りてきて、どやどや道が混みまくっている。
ようやく西道路に乗れたものの、案の定、陸前白沢駅の手前で再度の渋滞。
仕方がない。成り行きに任せるしかないのである。
途中、熊ヶ根あたりのコンビニで麦茶と菓子パンを買い、関山トンネル前には、12:30到着。この関山峠は、グーグルマップによると、標高630mくらいなんだそうだ。結構高いのである。
あら。車が1台も止まっていない。
確かにマイナーな山ではあるが…。
今日は泉ケ岳方面の天気が良いので、登山者はそっちに流れたのかもしれない。
車がビュンビュン行き過ぎるR48の両脇に、細長い駐車帯がある。
その端っこに車を置き、曇天の下、スタート。12:35。
宮城側のトンネルの向かって右側、国土交通省の消火器庫の脇に、そうっと登山道が口を開けている。広瀬川の源流となっている沢沿いに遡上。
山の斜面を這う、典型的な細い山道。
マイナー故、さぞかし荒れ道かと思いきや、スッキリ整備されている。
ガレはほとんどなく、土と枯葉で覆われた道はほんと、歩きやすい。
小走りでも行けるくらいだ。
だけど、小生の前は、誰も登っていないようだ。
というのも、しょっちゅう、クモさんが登山道を横断するように巣作りに勤しんでいて、その都度、「ごめんね」と御宅を破壊しながら進まねばならないからである。
お、時折、日差しが差し込む。天候は回復傾向。
涸れ沢を渡り、反対側の斜面へ。
しばらくジクザクな道が続き、どんどん高度を上げる。
12:51、20分ほどで尾根に到達。そこから右に折れ、稜線上を進む。
しばらくブナ林の中を進む。ちょっとずつ、両側の視界が開ける。
木々の間から、東側は泉ケ岳、そして船形山。
西南方向は、大東岳。その隣にゴツゴツした、立派な山が。後で調べたら、お馴染みの面白山だった。2つの山が重なって、でかい山に見えていたようだ。
ああ、起伏に富む、魅力的な山々。
今日の脳内BGMは、Milton Nascimentoの「Clube da Esquina No.2」。『Angels』(1994)の、歌入りのほう。
それが、いつの間にか稲垣潤一の「夏のクラクション」に変わっていた(笑)。
それにしても、これまた筒美京平先生の作品。しかし、すごい作曲家である。
山の話であった。
やや、傾斜がきつくなり、13:20、「コブノ背」と呼ばれる995mピーク着。木立に囲まれた、土俵みたいな円い平地。
木のたもとに、手書きの小っちゃなプレートがぽつんと置かれているばかり。
これは、他の方のブログを見ると、2015年頃までは木の枝に針金で括りつけられていたようだ。栄枯盛衰、諸行無常。
えーと、この右前方に見える、ぽっこりなだらかな山が寒風山の頂上であるようだ。
空は青く、日差しは強く、尾根を吹き抜ける風が気持ちよい。チラチラと紅葉し始めている木もあって、標高千メートルは早くも秋の世界。
13:46、ササ原に出た。振り返ると、ここからの眺めが素晴らしい。
このササ原は、2012年ごろのどなたかのブログでは、笹が背丈以上に繁茂して、歩行が困難であったようだ。現在は整備が進み、枯れ笹が敷き詰められた道を気持ちよく歩くことができる。
ポコ・ポコと飛び出した突起は、最上カゴと仙台カゴなのだそうだ。
再び斜度が上がり、アオノ背(1,065m)かな、と思って標識を見たら、
あら。ここが寒風山の頂上なのであった。14:08。
周囲は茂みで、眺望はまったく、ない。
これまで無休憩・無補給でずんずん登ってきたもんで、いつのまにかアオノ背を通り過ぎていたのだ。
ここまで4.5km。この山には、以前、自衛隊の通信反射板が設置されていたんだけど、現在は撤去済みらしい。
あまりにあっさり着いたので、本当に頂上かと、半信半疑。
もう少し先に行ってみる。
道は下りになる。目の前にドーンと、お椀を伏せたような山が。これは、奥寒風山というらしい。その左の奥には、黒伏山が見える。
その筋の人は、ここから白髪山まで行ってくるそうだ。
道はまだ続いているけれど、時間も時間だし、今日はここで引き返しましょう。
14:49、そうか、ここがアオノ背だったのだ。さっき、山の景色が良くって、狂喜乱舞して写真を撮っていたところであった。
勝手に命名した「枯れ笹の道」。
笹の葉がふかふかで、さらに景色が良いところを探し、15時過ぎ、ここで遅いお昼にする。
雲は多めだが、十分すぎる日差し。そしてやや強くなってきた風が笹をなで、心地の良い音を立てる。
ウトウトしかける。このまま寝入って、気が付いたら満天の星空、ではいかにもまずい。
そそくさと準備して立ち上がる。
笹の葉に滑って、尻もちをついたほかは、特に何事も起こらず。
午後3時の日差しが、木立から斜めに差し込み、道をまだらに彩って美しい。
国道を疾駆する自動車音が聴こえて来た。なんとなく懐かしさを感じる。
再び、産まれたての広瀬川を1歩で渡り切り、なつかしい駐車場が見えたのは16:09。
結局、誰とも会うことなく、しずかな旅を終えた。
(202000919)