行政デジタル化 信頼の置けるシステムを
9月20日 08:33
菅義偉首相は新政権の看板施策として「デジタル庁」創設を表明した。複数の省庁にまたがっているデジタル関連の政策を統合し、マイナンバーカードを含めて行政のデジタル化を加速させる狙いがある。自身が唱える「縦割り行政の打破」にもつながるだけに、閣僚への矢継ぎ早の指示が目立つ。
デジタル庁創設によりさまざまな手続きが簡素になるのであれば、多くの国民は歓迎するだろう。しかし、国民にはデジタル環境の格差があり、現行のマイナンバーカード制度への不信感も払拭さ[ふっしょく]れていない。菅首相には、手法にこだわらず、すべての国民が利用しやすく、信頼の置けるシステムの構築を目指してもらいたい。
行政のデジタル化については、20年前にIT基本法が定められたが、理念や努力目標にとどまっていた。政府全体としての具体的な方向性がないため、各省庁は仕様が異なるシステムを運用し、政策もばらばらだった。こうした状況にメスが入ると考えれば、遅まきながら一歩前進ではある。
菅首相は自民党内きってのIT通とされる平井卓也氏をデジタル改革担当相に起用。デジタル庁創設に向けた検討作業も始まり、来年の通常国会への関連法案提出を目指している。平井担当相は民間から幅広く人材をデジタル庁に採用し、トップにも民間人を起用する意向だ。
IT関連技術は進化のスピードが速く、柔軟なアイデアが求められるだけに平井担当相の考えはうなずける。ただ、予算と権限をどれだけ確保できるかが、人材獲得の上でも課題となるだろう。
菅首相がデジタル化に前のめりになる背景には、新型コロナ対応で相次ぎ表面化した行政手続きシステムの不備がある。
とりわけ一律10万円の特別定額給付金では、郵送に加えてマイナンバーカードによるオンライン申請を導入したが、もともと想定されていない利用方法だったため、自治体の現場が手作業での確認に追われるなど、かえって混乱を招いた。このため、当時官房長官として矢面に立った菅首相は、マイナンバーカードの多機能化にも強い意欲を示している。
既に来年3月からの健康保険証との一体化が決まっている。さらに預貯金口座とのひも付け義務化や運転免許証との一体化も検討が始まった。マイナンバーカード所有者に買い物などで利用できるポイントを付与する「マイナポイント」事業もスタートし、一気に普及させたい考えがにじむ。
しかし、マイナンバーカードについては、もともと個人情報流出や監視社会化などへの懸念が強く普及停滞の要因となっていた。コロナ対応でシステムへの不信が強まっている中、さらに個人情報を集中させるのは拙速ではないか。同カードを行政デジタル化の中軸に据えることには、今回の混乱を検証した上での、もっと慎重な論議が必要だろう。
【2020年9月20日/熊本日日新聞/社説】引用
≪参考資料≫
《首相官邸ホームページより引用》
菅政権も前向きに取り組むとした「行政のデジタル化」、そうであるのならば早急に第一弾となる設計図のようなものを作成し、国民に示すべきだ。
行政のデジタル化については、安倍前首相も同様の発言をしていた。
担当大臣を設置するなどしたものの、人選でつまずき優先順位が変わってしまった過去がある。
そのうえ、数えきれないほどのネット犯罪が次から次へと報道され、ネット自体への信頼度すら薄れてしまっている事態だ。
ネットの世界に限らず、何かをしようとすればそれに便乗した犯罪は起こる。
これまでは事後の対策ばかりではあったが、これからは前もっての防止策の想定も必要だ。
そしてしべ手の人が使いやすいシステムの構築が必要だ。
スマホの使用者数は伸びてはいるが、まだ数年はガラケーも現役でに次状的に使いこなしている人も多い。
分け隔てることなく安心できるようなシステムが必要だ。
就任会見などであれだけの大見えを切ったのだから、「できなかった」などの言い訳は聞きたくはない。
少なからずとも、新政権誕生の際に国民は期待している。これまでのように中途半端で終わらせることなく、真摯に取り組むべきだ。
https://www.pref.kumamoto.jp/hpkiji/pub/List.aspx?c_id=3&class_set_id=1&class_id=7146
(熊本県ホームページより引用