父方の祖父は、朝「おはよう」と上げた片手に、ビールのグラスを持っていることがよくありました。
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ふと気がつけば、まったくお酒を飲まなくなりました。お客様とご一緒する時や年末年始などでは口にしますが、普段の日となると、とんと。飲まないと、お酒に弱くなって、弱くなると、また飲まなくなる。そういう循環が出来上がりつつあります。
6年前に亡くなったわたしの父方の祖父は、とてもお酒が強い人でした。父方の祖父母はわたし達家族からは遠く離れて住んでいて、会えるのはせいぜい年に1回。夏休みなど、祖父母宅に泊まらせてもらい、朝目覚めて居間へ行くと、テレビの前にいつも祖父がいました。「おう、起きたか」と言いながら、よくビールを飲んでいました。
わたしの日常には朝っぱらからお酒を飲む大人がいなかった為、初めて祖父が朝からビールグラスを片手にしているところを見た時には、密かに「この人は、もしやろくでなしか?」と思ったものです。その後、大きくなってから大阪へ旅行した際、午前中のうちから餃子屋の二階で阪神戦を見ながらビールを飲みまくる方々に遭遇してからは、意外とそういう大人は多いものなのかと思い直しました。
祖父がビールのグラスを干してから満足そうによく言っていたセリフが、上のセリフです。
ビールなんてうまいもんを考えた奴にはノーメル賞を贈りたい。
いま改めて思い返しても特に面白いセリフではありませんが、とても懐かしい気持ちになります。そして、祖父が心底ビールを美味しく飲んでいたことがよく分かって、妙に幸せな気持ちになります。
夏の火照った体に流し込む冷えたビールも、冬の乾いた風でからからになった喉に沁みるビールも、確かに、素敵に美味しい。今はアルコールと距離を取っているわたしですが、ビールが与えてくれる幸福感は、未だに好きです。
そんなわけで、今夜出張帰りに飲んだ冷えた一杯は、大変沁みました。ふと祖父の満足そうな表情が浮かび、ノーメル賞か、思ったら、初めてこの言葉で少しだけ笑いました。
わたしが飲んだのは本物のビールではなくて、ノンアルコールビールではあったのですが。