日歯代議員会総括 その2 ―歯科技工士法改正についてー | クマゲロのブログ(熊谷宏)

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田舎の歯科医師が個人の立場で徒然に呟いています。

個人質問では、「歯科技工士法改正に対する執行部のお考えについて」を提出しました。


驚いたことに、日本歯科新聞の一面で取り上げられました。
(添付は、日本歯科新聞社ツイッターからです。)



ここでは、質問及び私の意見の骨子を、執行部の答弁も含めながら、まとめてみたいと思います。

 1:就業歯科技工士数の激減は続き、極めて近い将来日本の歯科技工は壊滅的状況になる。
   技工士養成校は閉校が相次ぎ、定員割れも酷い。

 1:今回、歯科技工士の需給問題(業務拡大含む)に関する質問が5問もあるなど、危機感は一部に共有されている。

1:これまでその原因として主として、
  ◯職業の認知度が低い (→日歯は過去、歯科技工士を主役とした映画を制作し、現在は歯科技工士の仕事を紹介する動画を作っているとのこと。)
  ◯低賃金、長時間労働といった労働環境の問題 (歯科医側は誠実な対応を取ってきたとは思えない。R6年改定が解決の糸口になるかが重要)
 とされてきた。

1:質問への執行部答弁は、技工士関連団体との協議会を作ったとか、認知度向上のための動画を作るとか、これまでの議論や対応の繰り返しに加え、日歯がリーダーシップを取るという姿勢があまり見られなかった。

1:歯科技工士需給問題の根本的解決には、歯科技工士が、「技工物をつくる人」という現在の位置づけから、看護師や歯科衛生士と同様に、(歯科)診療補助を行うことを業とする」と、明確に「診療に携わるもの=相対的医行為を行う医療従事者」と位置づけるような法改正が必要である。

1:加えて、歯科技工士のあり方について、技工所の中でデジタル技術の専門家として働くという働き方に加えて、もう一点、歯科医師ともに、チェアサイドのみならず、訪問・介護の現場で、形態だけでなく機能の回復にも、医療連携の歯車の一つとして力を発揮していけるような社会的意義ある仕事にすべき。

1:現行法制では、歯科技工を行う場所は、歯科技工所ないしは病院又は診療所内とされ、訪問診療の現場に歯科技工士が帯同し歯科技工を行うことすらできない。

1:これらを解決するには、歯科技工士法第2条の改正が必要。

1:従前主張されていた、歯科技工士の業務の拡大についての(第20条)改正は、まずは第2条における技工士の位置づけの改正がなされた後に、令和3年の医療法改正において、医科の関連職種に対して行われたタスクシフトシェアと同じロジックで進めていくべき。

1:令和5年度厚労省補助事業「歯科技工士の人材確保対策事業」のシンポジウムで、厚労省の小椋正之歯科保健課課長が、「日歯と日本歯科技工士会(日技)、全国歯科技工士教育協議会(全歯協)が同意すれば、歯科技工士法の改正は可能」との旨の画期的な見解を出され、マスコミ報道された。

1;まさに法改正の機は熟したと言える。

以上のようなものです。

最後に触れた、「歯科技工士の人材確保対策事業」のシンポジウムにおける、厚労省の小椋正之歯科保健課課長のコメントは、歯科新聞でも取り上げられるなど、画期的なものです。

なた、この事業では、業務拡大にともなう、養成校の単位認定についてシュミレーションを行なうなど、極めて具体的な検討がなされています。

以下のサイトで報告書がダウンロードできますので、是非お読みいただければと思います。

https://shikagikoushi.com/

昨日の、日歯連盟評議員会において、比嘉なつみ議員から、「外国人技工士の日本での就労」が議論の俎上に上がっている旨の発言があり、びっくりしました。

まずは、歯科技工士法の改正であることを繰り返し主張しておきます。

(再度繰り返しますが、添付は日本歯科新聞社のX/ツイッターからです。https://twitter.com/shikashinbun/status/1770299355569766829)