熊谷龍子(短歌)×佐々木隆二(写真)のコラボ展 | フリーライター 熊谷あづさの雑記帳

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観たもの・聴いたもの・読んだものなどを綴っています。
ねこの記事もちょくちょく登場する予定です。

わたしの母は短歌を詠んでおりまして
『森は海の恋人』とか『柞の森』とか『無冠の森』とか
何冊か歌集などを出していたりします。

わたしが、「文章を書く仕事がしたいなぁ」と思ったのは
ほぼ間違いなく、母の影響です。

母と、写真家であり親戚でもある佐々木隆二さんが
コラボ展を開催するそうなので
今日は、その告知をさせてください。



「森の時間」
熊谷龍子(短歌)×佐々木隆二(写真)

9月29日(金)~10月15日(日)まで
仙台文学館にて
✳10月2日(月)は休館日です

↓↓↓ 仙台文学館へのアクセスはこちら
http://www.sendai-lit.jp/info/access


わたしが生まれ育ったのは、
バスが一日に数本しか通らないような
ものすごーく田舎の森の中で
母が詠む短歌のほとんどは
まわりにある自然や日ごろの暮らしを題材にしています。

母の短歌の世界を写真で表現するために
佐々木隆二さんは、
車で二時間以上かかる我が家へと
何度も撮影に足を運んだそうです。

今、実家では、
修司と道造という二匹の黒猫ブラザーズが暮らしており
彼らも母の短歌に詠まれています。

コラボ展では、
修司さんと道造さんの歌も展示されるようなのですが
隆二さんが撮影にいらしたときに
黒猫たちの様子がイマイチだったらしく。

後日、修司と道造の撮影のためだけに
お越しいただいたのだそうです。
 

↓ こちらは、修司さんです。

 




↓ こちらは、道造さんです。



告知だけというのもなんなので
わたしが好きな母の短歌を少しだけ、
娘目線を交えつつご紹介させてください。


●夏だけの裏戸をすこし開けておく〈 ほたるぶくろ 〉の見えるくらいに

実家は古い民家で、
冬はものすごく寒いのですが
夏はけっこう涼しいです。

東京ではエアコンをつけないと耐えられないような時期でも
窓を開けるだけで暑さをしのげたりします。

夏になると、家の裏手にある戸を開けて
風通しをよくしています。

ほたるぶくろは、母の好きな花のひとつで
実家のまわりでは、白いほたるぶくろが自生しています。

今度、車で帰省したときには
ほたるぶくろを根っこごと掘り出して、
持ち帰って育てたいなあと思っています。


●四囲よりのひぐらしの声に送られてアクセルを踏み母を看取りに

十数年前の初夏の季節に他界した祖母は、長い間、
気仙沼市立病院で入院生活を送っており
母は雨の日も、風の日も、体調が悪い日も
一日も欠かすことなく、祖母を見舞っていました。

当時、駆け出しのライターとして仕事をはじめていた私は
危篤の報せを受けたものの、
その日、入っていた取材を優先してしまい
祖母の最期には間に合いませんでした。

勇気を出して、担当編集さんに事情を説明してすぐに帰れば、

ちゃんとお別れを言うことができたかもしれないと
今でも後悔しています。


●この水で娘は育ちゆきこの家から娘は巣立ちゆき そして空っぽ

長い間、実家では山の水源から水を引いていて
山水は井戸を通って水道から出ていました。

 

井戸のまわりでは大葉が自生し
井戸の水が注ぐ池では、
おまつりの金魚すくいですくった金魚が
びっくりするほど巨大化していました。

実家の山水は、市販のどんな高級なお水よりもおいしくて
帰省するたびに、ペットボトルに詰めて持ち帰っていました。

わたしは四人姉妹の長女です。
欲しいものもなかなか買ってもらえないような
厳しい経済状況ではありましたが
両親はわたしたち四人を、好きな道へと進ませてくれました。

かつて両親と祖母とわたし姉妹の7人が暮らしていた

森の中の家ですが
今、住んでいるのは両親の二人きりです。

好きな道に進ませてもらったというのに
いまだに、さっぱり親孝行ができていません。

できるだけ、帰省するようにしたいです。

というわけで

解説ともいえないような内容なのですが、以上です。

コラボ展では、どんな短歌が紹介されるのか
娘のわたしもわからないのですが
森の中の空気感を感じ、癒しのひとときを

過ごせるのではないかと思います。

仙台やお近くにお住まいの方は、
もしお時間がありましたら、足を運んでいただければうれしいです。

ちなみに、初日の29日は、母が会場にいるそうです。
ぎりぎりのお知らせで、本当にすみません……