気温が上がってくると、
休眠していた時は止まっていた樹液が動き出します。
ブドウの枝を切ると、切り口から、
ぶどうの涙呼ばれる樹液が溢れてきます。
かなりの量が滴り落ちますが、
ブドウの生命力を感じる瞬間です。
剪定した枝は、まず垣根から引き剥がします。
蔦植物であるブドウは、垣根の針金に巻きひげを絡ませ、
自分の身体を支えて、上え上へと成長します。
この巻ひげは、よく見てみると、
ぐるぐると巻き付いた後、さらに逆方向へ巻き付いており、
死んでも離さないという、ブドウの思いが伝わってくるようです。
これにもブドウの生命力を感じさせられますが、
その分、針金から引き剥がすのも大変になり、
力づくで、引き剥がしていきます。
引き剥がされた枝は、すべて焼却していきます。
枝についたウイルスや菌が、
成長していく樹の病気の温床となるため、
残さず拾い上げて燃やすのです。
畑の中を移動しながら、次々と枝を燃やしていきますが、
風向きに気を付けないと、ひたすら煙に巻かれることに。
それでも、どんなに気を付けても、
一日終われば服も体も煙にいぶされて、
自分が燻製になったような香りがついています。