日記をつけている派と全くつけていない派と大きく分かれると思うが、私は後者の方。

子供時代の夏休みの絵日記以外、書いたことがない。しかも、これは評価をもらうために書いたもので、本当の日記とは言えない。

書かない大きな理由の一つは、プライバシーが保てないからだ。

 

私の両親は二人とも筆まめで、毎日日記をつけていた(らしい)。そして、お互いに盗み読みをしていた。

まず、第一に言いたいのは、何のために日記をつけるのかということ。純粋に自分のためにつけているのなら、鍵でもかけて封印しておけばいい。それと、他人の日記を盗み読みして何のメリットがあるのかということ。

私だったら、逆に、そこに誰かの書いた日記があっても、絶対に読まない。それは文字通り「盗み=犯罪」だからだ。

 

外面的にはオシドリ夫婦で通っていた両親だったが、実際は違った。まず、喧嘩こそしなかったが、それは二人とも内向性で対話がなかっただけのことだったのだ。本音を隠して、きれいごとで済ませてきたのだった。

 

それがはっきりしたのが、私の息子が生まれてから。普通、孫の顔を見に来るときは、二人揃って来るものだろうが、彼らはいつも日を置いて、別々にやってきた。そして、ここぞとばかりに実の娘である私に、パートナーの悪口を言うのだ。それも元ネタは、盗み読みした相手の日記だ。「本当は、心の中ではこんなことを考えていたのか!」とそれぞれが驚愕、かつ失望しているのだ。その後それぞれ態度を改めるのだが、お互いに相手の日記を盗み読みしたことは伏せている。聞かされた私は「どう返事をしろというの!? お互いに結婚相手を間違ったのねとでも言えばいいの?」とあきれると同時に、怒りを覚えた。

 

案の定、母は父が亡くなった後は仮面夫婦を返上して、死後離婚状態となった。ただの一度も父の思い出話をすることもなかった。積年の恨みつらみで思い出したくもない風だった。

 

日記をつけるメリットがあるとしたら、ただ一つ。面と向かっては言えないことを誰かに知らしめる手段としては役に立つだろう。

ただし、その後どうなろうと私は知らない。