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『金の邀撃 日雇い浪人生活録(五)』上田秀人(ハルキ文庫)
『妾屋』シリーズとキャラ配置がモロ被りだし、内容も地味だと思っていたら、思っていたより快適です。
江戸町奉行所事情が絡むのなんかは『内与力』シリーズと被るけど、もろもろ含めて本作はキャラクターにイライラ感が無くていいです。
「浪人」、しかも仕官を望んでいないというのが地味に活きてます。主君の無茶ぶりがない。これって上田作品では初かな?しかも戦闘力がビミョー。得意な得物も鉄扇で益々ビミョー。
女性キャラも今のところ陰がないです。ダブルヒロイン系被りの『禁裏付』シリーズみたいなこともないです。
ハナシは、商売敵や与力の干渉を排除して、目付が矢面に出てきて、老中も出てくるかも?なカンジ。
将軍家直裁の密命だから、御庭番がほぼ100%影守してくれてたけど、老中が出張ると伊賀者が出てくるかもしれない。そうするとアクションがいつものように凄惨になる。いや、伊賀がまたボロボロにされちゃうな。
『髷番』シリーズみたく、史実はともかく劇中では「とりあえずハッピーエンドで『おれたちの戦いはこれからだ』」パターンにせざるえないけど、諌山には幸せを掴んでもらいたい。
『無節の欅 おれは一万石(五)』千野隆司(双葉文庫)
前巻の続きです。
菩提寺改築も成功。
家中だけでなく、本家分家の抵抗勢力も大幅減。
ミステリーネタも決着。
流産でココロ壊れてた京も回復。
ひとまずハッピーエンド。
木材の運搬に付き添うために主役の高岡藩世子井上正紀は、「東国三社詣り」という裏技を使います。武神である東国三社(鹿島神宮、香取神宮、息栖神社)を参拝するのならば、幕府に申請した上、政治力を使えばギリギリ江戸出府できるというもの。
考えたなぁ。流石に作者の創作じゃないだろいけど、舞台が下総の藩だからできた荒業。『西郷どん』第一話の斉彬とは違う。
奥はともかく、家中はかなり風通しが良くなったカンジがする高岡藩井上家。
そろそろ困難の相手が幕府になるか?
「聖地巡礼」までしたので、経済的に「キラキラハッピーエンド」は期待できないのは分かってますが、それでも期待しちゃいます。
素直に応援できる。