評論家、立花隆さんは自らもガンにかかり、その体験取材を通して、ガン治療の実態に切り込んでいます。
場面はNHKの控え室,番組に出演する先生方との雑談から始まります。
「ぼく以外の出演者はすべて、大学や大学病院、ガンセンターなどのそうそうたるガンの有名な臨床医たちでした。昼休みだったと思いますが、控え室で皆が雑談的にいろんな話をしていたときのことです。
いつの間にか、話題が抗ガン剤の話になっていきました。
Г抗ガン剤がどれほど効かないか」
という話を一人がしだすと、みんな具体的な抗ガン剤の名前を出して、次から次に、それが
「どれだけ効かないか」
を、競争のように話し始めました。
Г結局、抗ガン剤で治るガンなんて、実際にはありゃせんのですよ」
と、議論をまとめるように大御所の先生がいうと,皆、その通りという表情でうなづきました。
私は、それまで「効く抗ガン剤が少しはあるだろう」と思っていたので、
Гえーッ、そうなんですか?それじゃ患者よ、ガンと闘うなで近藤誠さんがいっていたことが正しかったということになるじゃありませんか」
すると、大御所があっさり、
「そうですよ、そんなこと みんな知ってますよ」
と言いました。私は、それまで、近藤さんが臨床医たちから強いバッシングを受けていた時代の記憶が強く残っていて、近藤理論は、臨床医たちから、もっともネガティブな評価を受けているとばかり思っていたので、これにはびっくいしました。だれか異論を唱えるかと思ってしばらく待ちましたが、だれも唱えませんでした。
”あ、近藤理論は基本的に正しいのだ”
と、認識が大きく変わったのは、あの瞬間でした」
(続く)
※私の好きな曲です。
ラスト・クリスマス(ワム)
ハッピー・クリスマス(ジョン・レノン)