鑑定士と顔のない依頼人 | Every Little Step (新)

Every Little Step (新)

りおうさんの更なる進化を求めて。

鑑定士と顔のない依頼人(原題:LA MIGLIORE OFFERTA)
2013年イタリア 日本公開2013年12月
監督ジュゼッペ・トルナトーレ
ジェフリー・ラッシュ/ジム・スタージェス/ドナルド・サザーランド


(C)2012 Paco Cinematografica srl.

何かの映画を見た時にこの作品の予告を見て
あーこれはおもしろそう!と思って公開を待っていました。
色々都合がつかず見るのが遅くなりましたが
見てきましたー!


【雑感その1】 ※基本ネタばれなしです。
見た直後の率直な感想としては
鬱映画だった。
わしは特にそういう部分の感受性が強いタイプなので
こたえました。
でも家に帰って色んな人の意見をみていると
こういう考え方もあるのかと気づかされることもあり、
なおかつ監督本人が”これはハッピーエンドである”と言いきっているらしいので
ああ そういう風に言われると少しわしの気持ちも
救われるなぁ~という。
前向きにラストを捉えることができるなと
思い始めています。
ただ、鬱だな~と思っていてはいても
作品自体は非常にクオリティも高くおもしろい映画であります。
全体的に質も良く、品のある作品に仕上がっています。
でも品のある映画だからこそ残酷さも目立ちます。


【適当なあらすじ】
一流のオークショニアであるバージル(J・ラッシュ)は
極度の潔癖症であり、女性との縁も全くないまま
この年になった。
そんな彼の楽しみは隠し部屋にある
壁一面に飾られた女性肖像画に囲まれて過ごす事だった。
しかしこの肖像画は正当な手段で手に入れたものではなかった。
ある日とある女性から絵画や美術品の鑑定を依頼された
バージルは指定された屋敷へと赴くのだが…。


【キャスト】
主人公のバージル・オールドマンを演じるのは
ジェフリー・ラッシュ。
シリーズ物になっている有名な作品に出演されているので知っている方も多いはず。
わしは一番記憶に新しいところでは英国王のスピーチを思い出します。
とにかく変幻自在な役者さんで
この作品も監督がこの役は彼にしかできないと思い
直々に脚本を送ったのだとか。
そして監督と彼と2人でバージルという人物像を作り上げたそう。
そのせいか非常に隙のない完璧なキャラだった。
物語冒頭と最後が完全に対比になっていて
その変化が素晴らしかった。
バージルがここまで完璧でなかったらこの作品はくだらないものに
なっていたんじゃないかなーと思うほど。

バージルの相談役 修理屋のロバート役に
ジム・スタージェス。
わしはちょっと知らないんですが過去に見たことのある作品に
ちらほらと出演されていました。
最近の作品ではクラウド・アトラスなど。

バージルの仲間のビリー役にドナルド・サザーランド。
ご存じ『24』のジャック・バウアーを演じるキーファ・サザーランドの
お父ちゃん。
さすがの存在感。
何かあるんじゃないか?と思わせる微妙な感じがよいスパイス。

謎のクレア役にシルビア・ホークス。
オーディションで選ばれた女優さんだそうです。
登場シーンではすごく綺麗に見えたんだけど
化粧したり劇中で綺麗になっていくたびにどんどん魅力がなくなって
いった。

監督はジュゼッペ・トルナトーレ。
ニューシネマパラダイスの監督であり
そして音楽はもちろんエンリオ・モリコーネ。


【雑感その2】※少しネタばれしているかもしれません!
一応極上ミステリーという謳い文句ですが
一見それほどミステリー色は強くありません。
でもちりばめられた伏線にどれだけ気づけるだろうか?
そういう意味ではミステリーです。
ラスト、ドンデン返しのあとはバージルの表情や行動だけで
その伏線の数々を読みとらねばなりません。
不自然な歯車、仕上がってゆく機械人形、数字を読み上げる謎の女性
そしてクレア。
予告を見た時点でわしはある一点のことだけはわかっていました。
でも最後こうなるとは思っていませんでした。
ですが案外途中で展開が読めたという感想を書いてる方が多くて
ネタとしては単純なんだろうと思います。
2度見キャンペーンなるものも実施されていたそうですよ。
パンフレットに解説が載っているいるそうです。
わしは知らなかったので買わなかったー。
あぁ買えばよかったわ。

物語冒頭のレストランのシーンと
最後のレストランのシーン。
この2つの対比、それまでのバージルの変化。
その構図が見事です。
考えれば考えるほど ははぁ~と納得されられます。


なんかあれやこれや書いてネタばれするのも
あれだし。
わしは何も知らない状態で見るのもいいと思います。
知って見るのと知らないで見るのとでは
全く捉え方が違ってくると思います。
第一印象が鬱映画だと書いたけれど映画自体は全く悪くない
むしろそのへんのつまらない映画を見るよりかは
ずっとおもしろいです。
ただ、時間が経つにつれて鬱映画だという意識は薄れていってますけどね。


気になる方はDVDで2度鑑賞みてみるのもおススメです。
なかなかシチュエーションはゴージャスな映画です。
そしてモリコーネの音楽がさらに引き立てます。
非常に質の良い映画です~♪