トラウマや悲しみ、消えたい気持ちに悩まれている方への、私からのお手紙です。
「トラウマや悲しみは、癒すものというよりも、未来に向かって生きているうちに、だんだん気にならなくなっていくもの」
と思っておいたほうがいいですよ。
消えたい気持ちは、過去の名残や、脳に染み付いた習慣でしかありません。
あまりにもその感覚に慣れているので、そっちへ引きずられやすいだけなのです。
あなた自身が、悪いわけでも、劣っているわけでも、ダメなわけでもないのです。
トラウマの原因を探って解消しようとすると、泥沼にはまって、ますます進めなくなります。(実際そうだったでしょ?)
「生物っていうのは、強烈な体験があると、脳が勝手に、その記憶を繰り返してしまうクセがあるだけなんだ」
と認識することです。
「動物脳」という古い「機械」が、壊れたCDのように同じ部分を繰り返し再生しているだけです。
「進化した人間の脳」の足を引っ張って邪魔しているだけなのです(脳に足はあるのか?(笑))。
では、どうやって、その古くて壊れた邪魔する機械に対応するか?
まずは、ここまで説明した仕組みを理解して、思い出すことです。
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もうひとつは、いろいろやりたい気持ちや、今から未来に向かう気持ちを大切に行動に移すことです。
それは、すでに内側から起こっているようですよね^^
それを続けていると、トラウマの名残が少しずつ薄まって、今と未来の重要性が高まっていくようになります。
対話しながら行う私のヒーリング・セッションでも、そのプロセスを後押しするお手伝いをしています。
サブリミナルCDや誘導瞑想CDも、効果的な場合があります。僕自身も持っていて、使うことがあります。
インナーチャイルドを癒すCDなどもいいですよね。
でも、あまり期待しすぎない方がよいでしょう。
なぜなら、こういう商品を使うときには、落とし穴があるんです。
「私は傷ついている」という前提が、無意識内で強くなってしまうのです。
CDを聞くたびに、「癒されなければいけない自分」「まだ癒されていない自分」が無意識内で呼び出されてしまいます。
すると、ちゃんと聞いているはずなのに、いつまでたっても変わらない、元に戻りやすい、ということになりかねません。
もちろん、サブリミナルCDや誘導瞑想CDは使っても良いのですが、本来の効果を得るには、重要なコツがあるんです。
それは、望む未来を描き、そこに向かうことをメインに据えるです。
「未来に向かう」「今を生きる」をメインにして、トラウマを癒す、を付属品にするんです。
「癒されるべき自分」や「癒されていない自分」として聞くのではなく、「癒されたその先の人生を満喫している未来の自分」を意識して、それを前提に聞くんです。
これは、微妙な違いのようですが、大きな違いです。
たとえば会社の仕事をする時、会社の理念とか売り上げ目標、今日のノルマなどがありますよね。
仕事がはかどらない時に、机が散らかっているのに気がついたとします。
「仕事ができないのは、散らかっているからだ」
「何で散らかるんだ、その原因を特定して、解消しなければ!」
と言って掃除ばかりしていたら、全く仕事ができませんよね。
まさに本末転倒です。
掃除は必要ですが、メイン事項ではないからです。
仕事がはかどるために必要十分な掃除を、時々すれば事足りるのです。
たとえ、少々散らかっていても。
なので、時々悲しくなっても問題ありません。
やりたいことを、やりたくなっても問題ありません。
両方の自分がいて、揺れ動いたとしても、何の問題もありません。
むしろ、とても人間的です。
ただ、その揺れ動きが激しすぎるときには、最初は脳や身体に働きかけると、心への働きかけがスムーズに進みやすくなります。
たとえば、脳へのヒーリングや、骨格の調整、栄養や食事のバランス、簡単な運動などの組み合わせです。
具体的な方法の使い分けはオーダーメードにする必要があります。
工夫すべき点は、望む未来を思い描き、その実現のための現在の行動がしやすくなるようにすることです。
トラウマや悲しさは、ドラマを盛り上げる演出であり、オマケ、スパイスです。
それくらい気楽に考えましょう。
そう考えるんだ、と決めることです。
トラウマとその解消に、躍起になり過ぎないのがコツなんです。
人は過去のトラウマ解消のために生きているのではなく、望む未来を実現していく「今」を楽しむために生きているのですから。
渡辺高史