世界の有名バーのバーテンダーたちが答える‘‘売れる・人気のあるカクテル’’ランキングがあります。
ここ数年はクラシカルなカクテルが世界中でブームとなっていて、1位「オールド・ファッションド」、2位「ネグローニ」などが顔を揃えます。
ベスト20位以内の常連(これでもかなりの人気の証)に‘‘ブールバルディエ’’があるのです。

アメリカ禁酒法時代に、アメリカからパリに移住した男が創作したとか。
男は雑誌のライターで、その雑誌名がブールバルディエ(伊達男・遊び人)でした。
フランスの大通り(ブールバール)を颯爽と歩く伊達男のことをそう呼んだそうです。
創作者であるライターもまさにそんなナイスガイだったなんて話も。

フランス人はアメリカ人とは反りが合わない気質って有名ですよね。
アメリカ人を伊達男と‘‘皮肉るエスプリ’’の隠し味が効いているような気がします。
それが人気の秘訣かな。

カンパリのほろ苦さがバーボンウイスキーの香りと相まって、ほんのり哀愁を帯びた味わいを感じるかもしれません。
秋へと向かい始めた肌寒い夜にカッコつけたい方、におすすめの一杯でございます。


《レシピ》
・バーボンウイスキー・・・20ml
・カンパリ・・・・・・・・20ml
・スイートベルモット・・・20ml
・レモンピール

●ビルド

※ベルモットはチンザノ1757がよろしいかと思われます。


大西洋の潮の流れがあります。
南米の東側をなぞり、カリブ海とメキシコ湾をえぐるようにして北を目指し、ヨーロッパさらにスカンジナビア半島をかすめて北極海へと向かう流れです。
そう、それがガルフストリームなんです。

名の通り海の色に仕上げるカクテル。
カリブ海の海に寄せてエメラルドグリーンに仕上げても良いですし、メキシコ湾の色に寄せて真っ青にしても良いですね。
パインジュースとグレープフルーツジュースの黄色があるので、緑から青までブルーキュラソーの加減で好きな色に仕上げられます。
そこはお店それぞれのレシピを楽しんでくださいね。

私は真っ青にします。メキシコ湾の海を見てみると青が濃い気がするので。
某ヘミングウェイさんもこの海流のことを‘‘青い河’’と表現していたとかいないとか、なので。

トロピカルなフルーティーな美味しさ。
ほどよく甘くてほどよく強くて。
そうそう、カテゴリーでは‘‘甘さ控えめで弱いカクテル’’としてありますが、ほどほどにお酒を感じる強さです。ご注意で。
見た目も味わいも良いので女性に人気の一杯なのです。

どうぞお試しくださいませ。


《レシピ》
・ウォッカ・・・・・・・・・30ml
・ピーチリキュール・・・・・15ml
・ブルーキュラソー・・・・・15ml
・パインジュース・・・・・・30ml
・グレープフルーツジュース・45ml


●シェーク


源氏物語カクテルNo.11。
オリジナルカクテルです。

第41帖‘‘雲隠’’は、もともと巻名だけで本文は書かれなかったとする説と、本文はあったが紛失したとする説がある謎めいた巻なのです。
本巻の前巻である「幻」から次巻である「匂宮」までは8年間の時間が経過しており、この間に‘‘光源氏が死んじゃってる’’のです。

ひとつの伝承には、これを読んだファンたちが世をはかなんで次々と出家してしまったため時の天皇の命により内容を封印してしまった、焚書処分にした、とあります。

また、本居宣長は考察しています。
「作者である紫式部は、源氏目線で彼の妻・紫の上の死という‘‘もののあはれ’’の心情を書き尽くしており、源氏の死についてはもう誰の目を通しても書くことができない、紫式部はあえて何も書かずにいたのだ」と。
おもしろいですよね。
私は敢えて書かなかったとする説を推したいです。

とまあそのような事でして、カクテルは満月をイメージしました。
光源氏を月に見立てました。
まさに今、雲に隠れんとするお月様です。
煌々と輝く満月にすることで、雲に隠れて光を失う様を想像してもらうのです。
これも言外の余情でしょうか。。

ベースにしたマルコーニジンの個性は柚子リキュールと相性が良く、その強いクセが丸みを帯びます。
深みある美味しさをどうぞお試しください。


《レシピ》
・マルコーニ46・・・・・・・15ml
・奏「柚子」・・・・・・・・15ml
・オレンジジュース・・・・・20ml
・レモンジュース・・・・・・10ml


●シェーク