雨上がりの虹。特に鮮やかな虹が見られたりしたら、なんだか得した気分になれますよね。
カクテルの‘‘レインボー’’も鮮やかな七色。ビジュアル系です。

このカクテルはお酒の持つ‘‘重さ’’の違いを利用して重ねます。
お酒は甘さの度合いによって重さが変わります。より甘いものはより重く。
シロップなんかはとても重いので一番下に沈めたりします。逆にウイスキーなど糖分の少ないものは一番上に浮かべたりします。

キレイに何層にも重ねるには、それぞれのお酒の重さを把握せねばなりません。
さらに美しく仕上げるコツは、心を穏やかに安らかに集中させることです。

完成したレインボーは、しばらく観賞した後に勢いよく一気に飲み干していただくのがよいでしょう。
ちびちびと味わって色を崩してゆくのは少々不憫に思えます。ビジュアル系ですから。

あ、そして美味しくはないですよ。
ビジュアル系ですから。


※特定の音楽関係者をディスったわけではありません念のため。


《レシピ》
・モナン ブルーキュラソー・シロップ
・フィリップ・ド・ブルゴーニュ  カシス
・ジェット27
・メラーナー  パルフェタムール
・グランマニエ
・シャルトリューズ ヴェール
・マイヤーズ ラム


●プースカフェ

アプリコットの甘い香りとベルモットのハーブ感がウォッカで引き締められた、気品ある美味しさです。

ツァリーヌとは女帝のことで、ロシアの女帝‘‘エカチェリーナ2世’’をモチーフにしたのでは?と云われますが、詳細は不明です。私ももう少し調べますね。

使用するアプリコットのお酒は‘‘アプリコットブランデー’’と言います。
しかしこれはブランデーではありません。
あんずのリキュールなのです。

あんずを原料にしたブランデーはヨーロッパ各地で造られていて、ハンガリーなどでは‘‘パーリンカ’’の名で流通しています。
しかし、これら現地で売られているものはメチルアルコールの含有量の関係で、日本では飲料用酒として輸入販売ができないのです。
最近は条件をクリアしたものだけ日本でも入手可能となっていますね。

「心に残る映画」私のベスト3に入る作品に‘‘サタンタンゴ’’があります。
ハンガリーのタル・ベーラ監督による7時間18分の傑作です。
作中で度々登場するのが‘‘パーリンカ’’。
町医者が呷るように飲む‘‘パーリンカ’’はどんな味がするのだろうと興味津々で眺めたものでした。
町医者が酒を呷るシーンだけで映画1本分の長さがあったかな(大袈裟)。

カクテルブックなど日本で目にするアプリコットブランデーの文字は、ほぼ全てが甘いリキュールを指しています。
紛らわしいですね!


《レシピ》
・ウォッカ・・・・・・・・・30ml
・アプリコットブランデー・・15ml
・ドライベルモット・・・・・15ml
・アンゴスチュラビターズ・・1dash


●ステア

ブランデーをベースにしたカクテルで最も有名なのはサイドカーでしょうか。
人気の理由のひとつは、その完成度。
ブランデーの深く繊細な優雅さ、キュラソーの香り高い甘さ、レモンジュースの生き生きした酸味。
完璧なバランスなのです。美味しい。

そんなサイドカーを世界に広め有名にしたのは、パリの‘‘ハリーズ・ニューヨーク・バー’’と云われています。
このバーは1923年に‘‘ハリー・マッケルホーン’’が創業した店。
ハリーとは、現代でも飲み継がれている人気カクテルの‘‘ホワイトレディ’’や‘‘フレンチ75’’等を考案した伝説クラスのバーテンダー。

サイドカーも彼の作とする説がありますが彼は否定し、こう言ってます。
「ロンドン、バックス・クラブのマクギャリーがサイドカーを考案した。」と。
No.035【バックス・フィズ】にも登場してますね、マクギャリー!
こちらも伝説級。

さてさて、誰が作ったにせよ21世紀においてもサイドカーは輝きを失っておりません。
完璧なバランスだからでしょうか。
美味しいからでしょうか。


《レシピ》
・ブランデー・・・・・30ml
・コアントロー・・・・15ml
・レモンジュース・・・15ml


●シェーク