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TPP参加の日本農家への影響をザックリと考えてみる

昨今、日本のTPP参加めぐる議論が各メディアで活発化しています。

そこで今回は、TPPの対象の1つである農業を主体に、日本のTPP参加が日本の農業に与える影響をザックリと考えてみたいと思います。

まず、TPPというと言葉が先行してしまい本質を見落としがちになってしまうため、ここでは簡易的にTPP=加盟国間での無関税貿易と定義します。したがって、今回は、無関税貿易の実施によって日本の農業は巷で言われているように壊滅的ダメージを負うことになるのかについて簡単に考えてみます。


下の図は、TPPの与える影響を、構造的に表したのもです。


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図を簡単に説明すると、「TPP」と「農家」という2つの要素を繋ぐ要素の関係を「+」と「-」で表しています。隣り合う(=→で繋がっている)要素が正の相関関係、つまり矢印の出発点が増えれば矢印の終着点も増える(その逆もまたしかり)関係が「+」、一方負の相関関係、つまり矢印の出発点の要素が増えれば、終着点の要素が減る関係であれば「-」で表しています。
※「+」「-」は増減を表す場合もありますが、単純に「+の影響」「-の影響」を表す場合もあります。

そして、図の特徴として円型(ループ図)であるため、ロジックツリーのような一方通行ではなく相互関係(循環)を特徴としていますので、各要素間が複雑に影響し合う状況を構造化する場合に威力を発揮する考えた方と言えます。

図中に弧の下にRとBの記号がありますが、それぞれ循環のタイプを表しています。
Rは拡張循環型(Reinforce:「-」の数が偶数)であり、好循環を表しており、Bは均衡循環型(Balance:「-」の数が奇数)であり、好循環と悪循環を交互に繰り返すことで同じバランス(均衡)状態を維持する形です。
そして「=」の記号は時間的なギャップ、つまり影響が遅れてやってくることを意味します。
※細かい説明は専門書(「システム・シンキング」で検索すればいくつかヒットすると思われます)に譲ります。

要するに、上の図の特徴して

①短期的な影響としては、輸入が増えることで農家へのダメージは大きくなります。(青色の円のサイクル:拡張循環型)
②しかし、時間が経つにつれて、安全面の問題が影響力を持ち始めて「安いけど安全面に不安がある」「高いけど安全」という2つの食品が市場で均衡状態を保つようになる。(オレンジ色のサイクル:均衡循環型)


さらに、③として、高品質の日本農作物というブランド・メッセージが確立すれば、さらに時間を経て海外への輸出効果(神戸牛・日本米等)も期待できます。

従って、結論としては、経済的な観点から見た場合、現在の日本の農業システムはバランスが悪い部分があることが予想されるため、そこの部分については海外の安い農作物に代替されることが予想されます。しかし、2年ほど前のPB×NBの攻防の様に、一時的に海外の安い農作物に市場が席巻されたとしても、時間がたつごとに市場がバランス化され、海外農作物がある一定のプレゼンスを確保するものの、無駄のとれたスマートな日本の農業体質になるのではないかと個人的には考えています。


キャバクラに見る未来基準の投資判断の重要性

知人に所謂「キャバ嬢」がいるのですが、先日その女性からある相談を受けました。
その内容というのが、
一度来店してくれて、そこで「場」が盛り上がったのと、指名してくれたお礼を兼ねて、「アフター(閉店後店外で食事等をすること ※当然男性のおごりとなります」の誘いにのったのですが、その後その男性からしつこく同伴を伴わない店外での食事に誘われたり、来店して指名するのであればそれ相応の「良いこと」を要求してきていて困っている。
というものでした。

要するに、
彼女からすれば、同伴(店外で食事を一緒にした後、一緒に来店すること※通常同伴者を指名)ノルマがお店から課せられているため、その営業ノルマ達成のための営業活動だが、
一方、男性側からしたら、「その気」になってしまいその認識の齟齬が生んだトラブルということです。

自分も男ですので理解はできるのですが、恐らく男性側としたら、それ相応の初期投資(初回来店時の飲食代+指名料+アフター代)をしたため、そのリターンを現在期待(要求?)しているといったところでしょうか。

投資をしたのであれば、そのリターンを期待するのは当然です。しかし、問題は「どの時点」でリターンを期待をするのかということです。

今回の件で言えば、この男性は「リターンのタイミング」を間違っているため、問題が発生していると言えます。

もし仮にこの男性が既に投資した額をもって、「既に○万円投資したのだから」という理由で、リターンの判断(女性の営業につながらない食事の誘い等)をしているのであれば、それは間違いです。
なぜならば、今回この男性が初回の来店時に投資したコストは、経営学的には「サンク・コスト(埋没費用)」と言われるものであり、回収不可能と言われるコスト、つまり過去のコスト(埋没してしまった費用)です。

もし、その男性がその女性を本気で「落としたい」のであれば、「あとどれくらい投資すべきか」という未来に基づく判断が必要です。これを「クリティカルマス・ポイント」と言います。
要するに、ある時点まではリターンが少なく投資だけがかさむ「辛い時期」が続きますが、一旦その時点を過ぎると一気にリターンが得られるという、リターンを生むのに最低限必要な投資(お金であったり時間であったりします)時点を表している概念です。
分かり易い例で言えば語学の習得がこれにあたります。まず新しい語学を習得しようとしても、その成果(相手が言っていることが聞き取れる)は初期の段階では投資時間に比例しません。いくら聞いても一向に上達しないという辛い時期がありますが、2~3ヶ月くらいその時期を絶えると、急に相手の言っている事が聞き取れるようになるということです。

今回の例で言えば、まずは女性の需要(同伴ノルマの達成)を満たす必要があります。当然、同伴だけしただけでは足りず、通常来店後もその女性を指名することになります(追加コストの発生)。これがクリティカルマス・ポイント(リターンを得るのに最低限必要な投資)と言えます。
ここまで考えてその男性は投資(お金と時間)判断をする必要があります。当然その判断は「過去にどれくらい投資したか(サンク・コスト)」に基づいたものではなく、現時点であとどれくらいの投資が必要か。そしてそれと同額の時間とお金を他のもの(一般女性とのデート等)に投資した場合のリターンよりも大きいのかといった「冷静な」投資判断が必要です。

当然、クリティカルマス・ポイントまで投資できるだけの経済力がないにも係らず、「これまでに○○円投資してきたので、ここで諦めるのは過去の投資を考えるともったいない」という理由で、経済力が続く限り投資(来店+指名)をし続けるのは、経営的には最もしてはいけない判断です。

そしてこの、過去(サンク・コスト)に左右されない、未来に基づいた投資判断は、キャバ嬢だけではなく、日々の行動から経営まで幅広く使える基準であると考えています。

ハーゲンダッツの銀座撤退に見るブランド価値の創り方

大分前の話になってしまいますが、
今年の夏頃に銀座で友人と食事をした後、アイスクリームが食べたくなり、ハーゲンダッツLA MAISON GINZA(以下ハーゲンダッツ銀座店)へ向かったところ、なんと閉鎖していたということがありました。

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※写真はハーゲンダッツの銀座店

ハーゲンダッツの銀座店は、ハーゲンダッツが日本に進出する際、高級というブランドイメージを消費者に浸透させるために銀座に店をオープンし、銀座店においては(おそらく)赤字だが、ディスカウントがなく収益性の高いコンビニやスーパーでのディスカウント対象外商品として、通常のアイスの2倍程度の価格で提供し、収益を上げるためのブランドシンボルとしての役割を担っきました。
ブランドとは非常に抽象的で曖昧なものであるが故、ハーゲンダッツは、先ずは銀座の一等地に店を開くことで、高級というブランドメッセージを具体化し、その後、ブランドイメージが消費者に浸透した後、チャネル拡大によって利益を一気に稼ぐという販売促進を行ってきたことで有名です。

具体的に言うと下図のブランド醸成に寄与する好循環が起こっていたということです。

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ただ、ブランドシンボルとして銀座が効力を持つのも、東京近郊エリアに限られてしまい、販売チャネルの拡大とともに、今日のように全国においてハーゲンダッツ=高級とうブランドイメージが浸透してしまえば、投資対効果の観点からすると銀座撤退は妥当であるように思われます。

しかし、重要なのは、ブランドとは抽象的であるとともに、陳腐化するものであるため、銀座店という分かり易い(具体化された)ブランドイメージがなくなる今後は、商品やサービス自体をブランドメッセージの媒体とするか、SNS等の新たなブランド発進チャネルの創出が不可欠となるということです。