親父の回復は早かった。みんながびっくりする程だった…記憶はあいまいな日が沢山あったけどあたしは慣れて居たし家族も慣れていたから問題はなかった…母がおむつやらいろいろしてる姿を見た時あたしは凄い『愛』を感じた。あたしにはこんな愛がこれからあるのだろうか??あたしは変わらず生きていくのだろうか?あたしは解らないまま闇の中に居た。結婚が決まっても彼の家族にもろくに逢った事は無かったし、むしろうちの家族に逢わせている方が多かったからあたしはどんな風に映るのか…あたしはあたしとして認めてもらえるのだろうか?あたしは独り孤独に居た…
そんな中親父は意識を取り戻した。もちろん意識はバラバラであたしに逢っても『娘』だったり『他人』だったりした。最初は驚いた…『こんにちは。良い天気ですね』などと言う親父が居たから落ち着いた時に彼を連れて行こうと想った。随分日にちも経ち落ち着いた頃を見図り彼と親父の元へ行った。初対面ではないから顔は知って居るので挨拶を交わし、彼の口から『2人結婚する事になりました。長い間お待たせしてスミマセンでした。なので体調早く治して下さい』と告げた。親父は元々口数の少ない人だったからうなずくだけだった…でも親父の笑顔は嬉しかった…
兄貴に結婚が決まった事を話した…そうしたらICUを出たら逢っても良い、と言われた。あたし幸せになれるのかな?自分でも不安だった。幸せなんて味わう事がなかったから何だか不安だったけど今は親父の生命を心配する事しか出来なかった…あたしはそれはそれで過ごしていた。仕事は変わらず風俗を続けていたし、親父の為に貯金をしようと想った。でも彼は仕事を怪しんでいたからキャバに戻るか悩んで居た。あたしはどっぷり浸かって居たからあたしはどうしたら良いのか解らなかった…何か言い訳を作りながらあたしは生きていたのかも知れない…情けなく弱い人間だった…グラスって割れてしまったらいくら欠片をくっつけて見ても水は漏れるからなんだかあたしは彼との関係はそんな感じだった様な気がする…幸せになるのが怖かった…