話はどんどん進みあたしは幸せになるんだ、と自分に言い聞かせていた…親父も本当に回復しあたしは幸せの絶頂に居た…ただあたしはこれで良いのか迷った…親父の為に籍を入れる、と言うのは正解なのか、彼は指輪から何からあたしを連れて観にいった。あたしは何だか幸せになる事の恐怖を覚えてしまった…彼は変わった…明らかにあたしだけ取り残されていた…イルミネーションが綺麗な冬だった…
何だか場違いな自分を凄く感じた…ドレスを選ぶのにも金額を観てしまうし、料理もフルコースだし、彼はあたしに全てを与えてくれた。指輪や、もちろん病み上がりの親父を考え一部屋取り休める部屋と食事をする部屋。あたしその時気がついた…彼はもうあたしの手の届かない存在だと…かたや『キャバ嬢』かたや『外資系』の人。車は外車だった…あたしが風俗で稼いだ金と彼の収入から現金で買った。あたしが軽く『あの車欲しいな』と言ったら買ってきた。もうあたし達は『セレブ』へと向かって居た。あたしは解らないまま彼のなすがままに進んでいった…
びっくりする程の回復のまま親父は退院した。後遺症、と騒ぐ物でもない位ほぼ前と変わらずに回復した親父にあたしは驚いた。あたしは小さなプレゼントを親父に与えたくて親父の大好きなわんこと共に『きょうのわんこ』に応募した。何が出来る子ではないけど写真もないからあたしなりに手紙に賢明に書いた。採用されないな、と想ったら実家に連絡きたらしく親父と親父が愛してやまない子がTVで映ることになりあたしは嬉しかった。たかが何分。でも記念に、みんなの記念になった。あたしの結婚は少しずつ動いて居た。あたしはささやかなもので良かったのに見栄っ張りの彼は有名なホテルで家族だけでけた外れな所を見つけて来た。あたしにはなんだかどんどん違う世界へ連れて行かれる様な気がしてあの頃苦労したあたし達は居なかった…