夜中の1時近くにショウから電話がきた。


「今、家に戻ってきた。今日は遅いから明日でいいかな?」


私はもう待てなかった。どうせ気になって寝れないだろうし。


それにショウの声のトーンでわかる。

元には戻らないだろうって。


「もう決まってるなら、とりあえず電話で答え聞くよ」


「そっか。じゃあ話すね。

この1週間俺なりに一生懸命真剣に考えたよ。

それで、やっぱり今結婚したら俺きっと後悔するって思った。

やっぱり結婚する覚悟ない。これが俺が出した結論」


「わかった。

ショウが真剣に考えて出した答えなら、受け入れるよ」


「引越しは、KAORIの都合の良い時に勝手にしてくれていいから。

今話したし、もう会ってまた話さなくてもいいでしょ?」


「わかった。じゃあね」


以上、会話終了。

別れるってあっけないなーって思った。

7年付き合っても最後ってこんなもんなんだって。


心は落ち着いていた。


普段考える事を一切しないショウ。

そのショウが真剣に考えて決めた答えなら、もう何も言う事はない。


それに、ショウの中には『結婚はまだだけど、別れたくない』って、

そうゆー思いすら、もう無いんだなって思った。

もう既に、ショウの中で私の存在は他人扱いになっているって感じた。


価値観の違いならお互い痛いほどわかってる。

しょうがないって思った。


私は寝ようと思って横になった。

でも、寝れない。頭は思考し始めた。


なんで、こんな事になったんだ?

1週間前まで式場探してたのに。

ってか喧嘩の前までは仲良かったのに。

あの時、蒸し返さなければ良かったのか?

ショウはご機嫌取りしてくれてたのに。

ってか、ホントにこれでもう終わり!?

7年付き合って最後は会って話もしないの!?

もう、一緒に眠る事もないんだ・・・


いろんな事が、ぐるぐる頭を回ってた。


最後ならショウの顔がもう一度見たい!

どうせこのまま家に居ても寝れないし、

だったら最後くらい2年一緒に過ごしたマンションで彼と一緒に眠ろう!


そう思った私は、深夜2時、彼がいるマンションに向かった。。。


私自身、いつもの事だと思ってたのが半分、

今回はマジかもって思ってたのが半分な気持ちだった。


2日後、彼からメールがきた。

『もう一度よく考えたい。もう少し待ってくれ』 と。


なんかホッとした。

まだ、別れてないって事だー。まだ付き合ってるんだーって。


ママも言った。

「またいつもと同じだね。少し冷静になったら謝ってくるんじゃない」


それでも私は今回は7:3で戻ってこない方が多いなって思ってた。

付き合い長いし、なんかいつもとは違う雰囲気を感じていた。


でも、ショウが冷静になって考えて出した答えなら、

どんな答えでも受け入れるつもりだった。


結局、私自身では決めれなかった。

もう、自分の気持ちもわからなかった。

結婚したいのか、別れたいのかも。


だから、ショウにすべてを委ねた。


それでも、日々気持ちはかなり揺れた。

いつもの事で、絶対別れるはずないしって思いと、

まぁもう別れてもいいやって思いの間で・・・


それでも、やっぱり一人になる事の方が怖かった。


特に夜になると、もう私が折れちゃおうかなとか思ったりした。

結婚の話は無しでいいから、このまま付き合おうとか、

今からマンション戻って、引きとめて仲直りしちゃおうかなとか。


実際、何度かマンションの前までは行ってしまった。

けど、明かりの点いてる部屋を見ただけで、入る事は出来なかった。


自分からそんな事するのはショウに負けたみたいだし、

私にとってそれは恥だと思って出来なかった。


やっぱり私は自分のプライドの方が強かった。


本当は、ショウに納得するまで考えてもらって、

彼から連絡が来るまで、待ってるつもりだった。

でも、どっちつかずのこの状況に、せっかちな私は耐えられなかった。

もう、どっちでもいいから早く結論が欲しかった。


そして、実家に戻ってから1週間後の日曜日。

私は彼に電話をした。時間は10時過ぎ。


「今、家にいる?」


「あー今、高速乗ってる」


「何してるの?」


「今日はみんなで、○○のマンションに遊びに行ってその帰り」


○○とは最近、結構郊外にマンションを買ったショウの友達。

一度、新居祝いにいかないとって言ってた相手だった。


「あーそうなんだ。遠いもんね」


「ってか、どうした?」


「あのさ。1週間経ったけど、考えってもう決まった?」


「うん。決まった」


「そっか。じゃあ今日聞かせてもらっていい?

何時くらいに帰ってくる?」


「今日は帰り遅いよ。12時は過ぎると思う。

まだ、みんな送ってる最中だし。明日でもいい?」


ショウにとっては珍しい事だった。

彼は翌日が仕事の日に、遅くまで出かける事を嫌ってる人だったから。

ホントに友達の誘いだと、カッコつけるんだな~って思ってた。

でも、私の事も優先してもらいたかった。


「いや、もう待てない。今日聞きたいんだけど・・・」


「うーん。じゃあ、こっち帰ってきたら一旦連絡するよ」


「わかった」


こうして、電話は終わった。


そして、夜中の1時近くにショウから電話がきた。。。



この時には、私の親と何人かの友達には結婚する事を伝えていた。



私が彼に結婚するか確認してから、ちょうど3週間後の出来事。


その日の昼、ホントに些細な事で喧嘩をした。

(ホント小さな事で、内容も覚えてないような事だった)

まぁ喧嘩は一応終わったんだけど、私はずっと不機嫌だった。


そして夕方になり、ショウはまた私のご機嫌取りに励んでいた。

下手に出て私のご機嫌取りをしている彼に対して、

『しょうがないな~もういいかっ』

っていつもなら仲直りするのに、

その日私は、喧嘩の内容を蒸し返してしまった。


もちろん、またまた小さな口喧嘩が勃発!


そして・・・・・・


「俺、やっぱ今すぐ結婚は無理だ!

KAORIと結婚する覚悟がない!!」


いきなり話が結婚に飛んだ!!


「じゃあいつになったら覚悟できるの?」


「わからない。時間が経てば出来るのかどうかもわからない」


「わからないって言ってる相手を待つ事はできないよ。

言ってる意味わかってる?」


「わかってる。KAORIもいい年だし、このまま待ってもらっても、

結婚する覚悟出来るかわからないし。

付き合ってるだけじゃダメなんだから、別れるって事でいいよ」


私は焦ったし急に怖くなった。そして引き止めた。

けど、熱くなってるショウの意見は変わらなかった。

付き合ってる事は可能だった。

でも、結婚が無いならやっぱり続ける事は考えられなかった。

そして答えた。


「わかった。別れよう」


7年付き合って覚悟が出来ない男なんてどうしょうもない奴と思った。

一度は結婚するって言ったのに覆した事も。


そして、私もそれでもいいかもと思った。もう疲れたよって。

私だって結婚する事に揺れていたから。


けれど、またいつもの事だとも思っていた。

冷静になればまた謝ってくるかもって。

そんな事の繰り返しの7年間だったから。

それに、別れるって言ったのに、その後の話を進めないし。


でも、この時点では一応別れる事になっている。

それなのに、一緒に寝て、生活して過ごすのは辛い。


だから、ひとまず実家に帰る事にした。

(この時点で、引き止められるかなって少し期待してたな・・・)


彼も私も少し考える時間が必要だと思った。

時間が経って冷静になればまた戻るだろうと。


私を実家まで送ってくれる車内。


「なんでこうなっちゃたんだろうね?

一緒に居過ぎて大事さとかわからなくなっちゃってるのかな・・・」


「そうかもしれないね」


二人とも涙目だった。


「ちょくちょくマンションに戻ってくるだろ?」


「うん。そのつもり」


先の話は何もせず、バイバイした。


『結婚する覚悟が無いって言うから帰ってきた』

と言う私に両親は言った。


「もういいんじゃない」


「でも、ショウの言う事はあてにならないし。

またいつもの事なんじゃないの~」


でもね・・・

なんか今回はいつもとは違う雰囲気を感じていたんだ。。。

今回はマジかもって。。。



遡ること9月の下旬。

ってそんな前の事でもないんだけど・・・

なにせ結婚決まってから、1ヶ月経たずに破局だからあせる


で、本題に戻る。


9月下旬にショウの一番仲の良い地元の友達が、

私達の近くに引っ越してきた。

彼は人が苦手で、友達にもすごいカッコつけ。

そんな彼でも地元の友達とは楽しいらしく、

誘われたら絶対に断らないし、断れない。

自分から誘う事はしないんだけど・・・


その友達をY君とします。

Y君は独身、彼女無し。時間もお金もある。


Y君が近くに来て、Y君とショウはよく遊ぶようになった。


この7年間、ショウは年に3回位しか友達と出掛けなかった。

まぁ地元の友達も忙しくて、なかなか会う機会もなかったのもあるけど。

地元以外の友達はよく断ったりもしていた。


ずっと、私だけの生活をしていた。

私はショウが心配だった。もっと人と接して欲しかったから。


だから、ショウが楽しそうにY君と遊びに出掛けていくのが嬉しかった。

何より友達は大切だから、大事にしてもらいたかった。

(ママに常日頃から言われてたし、実践してた。

『男なんて水物なんだから、女友達は大事にしなさい』


Y君が来てから、ほとんど週末の休みをショウはY君と遊びに行ってた。

その間、結婚の調べ物は私一人でやっていた。

それでも、ショウが自発的に出掛けていく事の方が嬉しかった。

それに、同棲しているから、遊びに行ってどんなに遅くなっても、

帰ってくる場所は私の所だし、何も心配は無かった。


ただ・・・

ショウには毎週遊べるほど、自由に使えるお金はない。

私の許しを得なければ、お金は自由に使えない状況。


かたやY君は、給料は全部自分のお金。

毎週、飲み歩ける時間とお金がある。


Y君がすごく楽しそうに見えたはず。

ショウは自由に遊べるY君が羨ましかっただろうし、

なにより、遊ぶ事の楽しさを覚えてしまったんだと思う。

たぶん、『自分は損をしている』と感じていったんだと思う。


毎週飲みに行き、後半は彼女無しのY君に付き合って、

キャバクラに遊びに行っていた。


それすら、私には微笑ましい事だった。

「ショウはちゃんと女の子としゃべれてるのかな!?」ってあせる


私達はお互いを縛らない。

合コン行くのもOKだし。

二人の中でルールがあった。これはショウが言ってた事。

彼は浮気はなく本気な人だから言える事だろうけど。


『俺にKAORIの出会いを止める権利はないし、

誰かを好きになる気持ちを止める権利もない。

もし、KAORIが他の誰かを好きになっても、

それはそいつに俺が負けたってだけの事。しょうがない。

そうならないように努力しなかった俺が悪いだけ。

それはKAORIにもいえる事だよ。

俺が他を好きになっても、それはKAORIがそいつに負けたって事だから』


これには私も賛成。

出会いを規制して、私しかいないから、私といるってのは嫌だ。

数ある中から私が選ばれたって感じたい。

(まぁ努力を怠ってたのに、私は自信満々だったんだけど汗


だから私は遊びに行く事を止めたりしない。

それでも、ショウの心境は窮屈だったのかもしれない。

報告しなければ動けないという状況が。

帰ってきた後に、私に「何して遊んできたの?」って聞かれる事に・・・

フリーの自由さを見て来ちゃってるから。隣の芝生は青いしね・・・


それでも、その時はお互い自分の心境に気付いてなくて、

普通に時間は過ぎていった。。。