熊本県八代市に本社を持ちます肥薩おれんじ鉄道は、平成16年に九州新幹線(新八代~鹿児島中央間)開業に伴いまして、JR鹿児島線でありました八代~川内間を第3セクターとして開業しました鉄道であります。
この鉄道は、所有車両は気動車しか存在しておらず、2形式の気動車(HSOR100形・HSOR150形各気動車)が運行されているのみでありまして、上の画像2にもありますように1両編成の姿が主に見る事ができております。
尚、運行区間は電化区間ではありますが、架線は以下画像にもありますように南北のJR鹿児島線から貨物列車が運行されているため残されておりまして、実際にこの肥薩おれんじ鉄道の区間を通過しておりますし、毎週木曜日には787系電車「36ぷらす3」も運行されておりまして、かつて「つばめ」として運行されていた姿を偲ぶ事ができております。
さらに、現在はJR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」もこの肥薩おれんじ鉄道線に乗り入れておりまして、こちらもかつてのJR鹿児島線であった事を伺わせております。やはりJR九州の区間でありました肥薩線が寸断されておりますので、他社線となった今でもこの区間を運行するのもわからなくはない所ではあります。
さて、その肥薩おれんじ鉄道の車両では、定期旅客列車に関しましてJR九州への乗り入れ列車も運行されております。その乗り入れ区間は、普段熊本側が画像の九州新幹線の駅でもあります熊本県八代市の新八代駅まで、また鹿児島側が鹿児島県薩摩川内市の隈之城駅までの乗り入れとなっております。尚、肥薩おれんじ鉄道の車両は全車JR九州の路線に乗り入れるようになっておりますので、ATS-DK形が装備されておりまして、車番に「A」が付与されております。
(新八代駅)
(新八代駅にて)~HSOR-111A号
(新八代行き)~HSOR-151A号
(隈之城行き)~HSOR-103A号
けれども、平成31年の3月改正まで、熊本・鹿児島中央両駅まで乗り入れる列車も土日祝日限定ではありますが運行されておりまして、乗り入れていた列車は、1両でありながらも、鹿児島中央駅発着では快速「オーシャンライナーさつま」、そして熊本駅発着では今回ご紹介します画像の快速「スーパーおれんじ」と言う名称で熊本~出水間で運行されておりました。今回は、このうちの「スーパーおれんじ」に関しまして皆様にご紹介してまいります。
この「スーパーおれんじ」は、先述のように平成31年3月の改正まで出水~八代~熊本間で2往復設定されておりまして、停車地は・・・
出水~水俣~佐敷~日奈久温泉~八代~熊本
となっておりまして、新幹線停車駅であります、新水俣・新八代両駅には停車しないのが特徴でありました。しかも、特急列車を彷彿とさせるべく、八代~熊本間はノンストップ運行であるのが大きな特徴でもありました。
しかし、この改正で八代~熊本間が休止されまして、「スーパーおれんじ」自体は線内運行にとどまっております。尚、「スーパーおれんじ1号」に関しましては改正前と同様川内駅まで運行されておりまして、出水→川内間は普通列車となっておりますし、「オーシャンライナーさつま4号」も出水~新八代間は普通列車となっておりました。
画像は、JR熊本駅で撮影しておりました(画像は平成22年撮影)、出水行き「スーパーおれんじ」であります。この列車は熊本~八代間はJRの運転士によりますワンマン運転でありましたが、普段が肥薩おれんじ鉄道の運転士による運行である事を思いますと、このような形態はまさにこの時ならではな姿であると言えるのではないでしょうか。尚、これまで通りJR区間でも八代~新八代間及び川内~隈之城間は肥薩おれんじ鉄道の運転士が担当しております。
一方、こちらは熊本市の富合駅で撮影したものでありますが、先述のように熊本~八代間をノンストップで運行しておりましたので、この駅も通過となります。本当に、平日は見る事がない列車が通過する訳でもありましたので、いいシーンを収める事ができたなと思ったほどでありました。
その後、令和3年のダイヤ改正におきまして、「スーパーおれんじ」、南側の「オーシャンライナーさつま」とも姿を消しておりまして、その結果肥薩おれんじ鉄道線内から快速列車が姿を消しております。これら列車とも、先述の停車地からもわかりますように、かつての特急「つばめ」・「有明」を偲ぶものでもありましたので、それが見られなくなったのも残念としか言えようがありませんでした。