番外 平成3年発行昭和バス時刻表にて詳しく記載されていました、杉本工業「スリーピングシート」紹介 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 
 現在、日本のバスのシートでは90%ものシェアを誇っておりますのは、画像にあります富山県に本社があります天龍工業のシートでありまして、高速バス用から貸切バス・路線バス用まで様々なシートを採用しておりまして、ご覧の皆様の中でもこの会社のシートに座られた方はいらっしゃるのではないかと思います。
 
 上の画像にありますのが、その天龍工業のシートを採用しておりました西鉄バスの三菱エアロクィーン(4201・PJ-MS86JP~現在廃車)でありますが、夜行用のシートでもありますので、ゆったりとした感じを味わう事ができておりました。実際にこの車も夜行から昼行(画像は福岡~延岡線「ごかせ号」)でも使用されておりましたが、長く乗車しましてもそれほど疲れさせないような対策が取られておりましたので、シェアNO.1としての所を見せているようにも思う所でしょうか。
 
 ちなみに、天龍工業の大きな話題と言いますと、しずてつジャストライン・名鉄バスで採用されております13列シートの特急用車両のシートを製作した事が有名でありまして、私自身も以前の静岡訪問時に収める事ができておりましたが、シートの形状も薄くすることで13列シートを可能にしております。やはり、わずかながらでも多く乗車させるための策が伺える所ではありますが、各座席にUSBポートも設置するほどですので、本当にすごいチャレンジだなと思う所でもありましたでしょうか。
 
 (しずてつジャストライン、静岡200か10-09、三菱2TG-MS06GP)
 
 尚、天龍工業は他には鉄道車両でも採用しておりまして、N700系新幹線電車などといった車両でも採用しているそうであります。そう言う事から、ご覧の皆様もどこかで天龍工業のシートにはお世話になっているとは思いますので、今回の記事を見ましてそうなんだと思っていただければ幸いではあります。
 
 
 さて、日本のバスシートのシェアNO.1が天龍工業ではありますが、かつては質では天龍工業以上でもあったと言うシートメーカーが存在しておりました。それが北九州市にありました杉本工業と呼ばれるメーカーでありましたが、中でも今回ご紹介します昭和自動車(昭和バス)の時刻表に掲載されておりました「スリーピングシート」は特に夜行バスのために開発されたシートでもありました。今回は、この時刻表に記載されておりました「スリーピングシート」に関しまして皆様にご紹介してまいります。
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 「スリーピングシート」は、西日本鉄道(西鉄)と、バス車体製造メーカーでもありました西日本車体工業(西工)、そして杉本工業が開発しましたシートでありまして、「スリーピング」からもわかりますように、夜行バスの車両向けに開発したものでありました。
 
 この「スリーピングシート」の最大の特徴は、リクライニングさせると座面がせり上がりまして、フルリクライニングにしましてレッグレスト(足載せ)を最大限に出した状態では、ほぼ身体を直線の状態にすることが可能であったなど、まさに究極の夜行バス用シートでもありました。
 
 この「スリーピングシート」は、西日本事業者を中心に見られておりましたが、最も導入されておりました画像の西鉄グループ(西鉄バス・西鉄高速バス)でも、画像の西工92MCSD-II(形式はいずれも三菱KC-MS822P)で採用しておりまして、福岡~東京線「はかた号」をはじめ、本州・四国・九州内におきまして見る事ができておりました。

 

 (3240)~「白夜行色」
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 (3241)~「ムーンライト塗装」
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 さて、この「スリーピングシート」は、昭和バスの当時運行されておりました夜行バスに使用されておりました車両にも採用されておりまして、表紙を飾っておりました以下画像の三菱エアロクィーンM(佐賀200か・194←福岡200か・318←佐賀22き・250)では平成18年に廃車売却されておりますし、それ以外の夜行用車両も同様に廃車売却されておりますので、昭和バスでは残念ながら見られなくなっております(その後他社でも廃車となったようです)。

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 ちなみに、この車に関しましては、上の画像の昭和バス時刻表が発売されていた平成3年当時は唐津・佐賀~大阪線「サガンウェイ」が運行されていた頃でもありますので、まさに昭和バスの高速バスの先頭を飾っていたと言う印象が見ていてわかるのではないかと思います。

 

 

 ここからは「スリーピングシート」の部分をご紹介しますが、その前にこの時刻表の中に入っておりました杉本工業以外の広告からご紹介します。

 

 

 まずは、渡辺自動車工業であります。この会社は現在の西鉄車体技術の前身にあたる会社でありまして、広告にもありますように本社は春日市に設けられておりました。そして、共栄車体工業→西鉄車体技術と変えまして現在に至っております。尚、かつての本社があった場所は現在は西鉄系のマンション(「サンリアン」)に変わっております。

 

 

 この中には、現在は存在しないバス車体メーカーも2社入っておりまして、昭和バスの車両を使いまして広告として掲載しておりました。それは現在はSUBARUと名称が変わっております富士重工業(富士重工)と西工の広告でありますが、富士重工にはいすゞスーパークルーザー(佐賀22き・・88、P-LV719R)、西工にはC-II架装の福岡22か40-38(日産デP-RA53RE)がありまして、西工架装車に関しましては旧塗装でもありますので特に懐かしさが感じさせられる所でもありましたでしょうか。

 

 (佐賀22き・・88)

 

 (福岡22か40-38)

 

 

 さらに、携帯電話の広告であります。現在はNTTドコモとなっておりますが、当時はNTT九州移動通信として存在していた時であります。それにしても、現在はスマートフォンが主流でもありますが、それらと比べましても当時の電話の姿がつくりからしましても見ていて懐かしい所ではありましょうか。

 

 

 そして、杉本工業の「スリーピングシート」に関しました広告であります。ここにも書かれておりますように、日本最初の都市間高速用シートである事がわかりますが、図を見ましても、このシートの仕組みが描かれている事が見ていて伺えるのではないかとも思う所ではありますが、このスリーピングシートが西鉄バス以外にも昭和バスの当時所有しておりました夜行車にも採用していた事や、それ以外の車両にも杉本工業製の座席も採用していた事もありまして、このようにお世話になっている意味からこのスリーピングシートの説明広告が掲載されていたようです。

 
 
 しかし、そんな杉本工業は、残念ながらその後廃業しておりまして、会社自体姿を消すに至っております。私も、この会社が廃業すると聞いた時は驚きでもありましたが、現在シェアNO.1でもあります天龍工業とも争うほどのシートメーカーでもあった訳ですので、本当に残念だなとも思ってならなかった事を覚えております。
 
 
 今回は、平成3年の昭和バス時刻表に記されておりました杉本工業の「スリーピングシート」説明などをご紹介しましたが、現在は存在しないメーカーでもありますので非常に懐かしい所でもあります。私自身も、このシートの車には乗車歴もありましたが、よく眠れるシートでもあった事やゆったり感が印象的でもありましたでしょうか。残念ながら、夜行高速用として使用された車は姿を消してしまっておりますし、メーカーのシート自体ももうだいぶ少なくなっているのではないかとも思われますが、このようにかつて夜行バスのために開発したシートも存在していた事をご覧の皆様も存じていただければと思います。
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