前回より、平成28年10月に行われておりました松浦鉄道(MR)の「マヤ検」の模様をご紹介しておりますが、前回前編では佐賀県伊万里市の伊万里駅での撮影を中心にご紹介しておりました。
MRの検測はJR九州のともに熊本車両センターに所属しておりますDE10形ディーゼル機関車+マヤ34形検測車(-2009)が、西九州線の佐世保→伊万里→有田間の全線に乗り入れて行われておりまして、JR九州内の年に4度よりは少ないですが、MRでも年に2度検測が行われておりまして、今年令和5年には2月28日に実施しております。
しかも、このMR検測での大きな特徴は、九州では唯一推進運転が伊万里→有田間におきまして行われている事でありまして、かつてはJR九州でも指宿枕崎線の「マヤ検」の復路にあたります枕崎→西頴娃間におきまして行われておりましたが、現在指宿枕崎線ではプッシュプル運転を行っておりますので、九州唯一の推進運転が見られる場でもあります。
さて、今回後編では推進運転区間であります伊万里→有田間のうち、有田町に属します夫婦石駅・蔵宿駅におきまして撮影しておりました話題を皆様にご紹介してまいります。尚、あくまでも撮影当時の模様でもありますので、現在と異なる部分もあります事はご了承下さい。
まずは、夫婦石駅での撮影であります。この駅は、2面2線の行き合い可能の駅でありまして、駅自体は無人駅でもあります。尚、ここは有田町に属してはいますが、伊万里市との境目となっている所でもありまして、駅の近くには大きな病院(伊万里有田共立病院)も設けられておりまして、病院来院者のための通路も設けられております。
(駅名標)
(有田方(奥は2番ホーム))
(伊万里方(奥に見えますのが伊万里有田共立病院))
しばらくしますと、踏切が鳴り始めまして、DE10形ディーゼル機関車ではない汽笛が聞こえてまいりまして、マヤ34-2009を先頭にしましたMR検測が、踏切を通りまして夫婦石駅をゆっくりとした速度で通過してまいります。
(夫婦石駅へ)
その速度は、わずか30キロ程度と原付バイク並みの速度でありまして、まさに推進運転ならではな速度で通過して行きます。以下画像の姿を見ましても、牽引機でありますDE10 1195号機が先頭なのでは?という印象さえも感じさせられますが、実際は上の画像のようにマヤ34-2009が先頭な訳でありましたので、まさにこのMR線ならではな姿を見たなと思った所でもありました。
ちなみに、「変わった汽笛に反応して出てきた」とおっしゃる沿線の住民の方も携帯やデジカメで撮影されておりました。やはり、年に2度しかこのMR線を走らない訳でもありますので、まさに珍しい列車を見た・収めたのではないでしょうか。
この撮影を終えまして、私は次の撮影場所であります蔵宿駅へ移動します。途中山谷駅~大木駅間にあります交差点(下山谷交差点)の所で信号待ちに遭いましたので、信号で止まっている際に「マヤ検」の編成を車中より収めましたが、ご紹介しておりますように30キロ程度の非常にゆっくりとした速度で運行されておりまして、蔵宿駅へ向かう際にもこの後追い抜きまして、後述のように先回りする事ができたのでありました。
こうして、私は蔵宿駅へやってまいりました。この駅も、2面2線のホームとなっておりまして、こちらも行き合い駅となっているのが特徴でもあります。
私は、先回りをしましてやってきた訳でありましたが、着きまして2分ほどでマヤ34-2009を先頭にしました「マヤ検」がやってまいりました。所で、出発信号機が1番ホーム側・2番ホーム側とそれぞれに付いておりますが、それは平成8年に開催されました「世界炎の博覧会(「炎」の字は異なります)」のために伊万里・有田方1・2番ホーム両側に出発信号機が設けられまして、臨時列車の折り返し駅として使われた名残が残されておりました。尚、現在も両側信号機は残されておりまして、時刻表によりますとそれぞれ片側は使われてはいないようでありますが、かつての名残は見られております。
(蔵宿駅1番ホームへ)
こうして、「マヤ検」編成は蔵宿駅へやってまいりました。この駅で約7分ほど停車しますが、伊万里駅からこの駅までが約30分かかっておりまして、従来のMRの列車よりも約10分ほど遅く運行されておりました。それほど、この列車が推進運転である分、ゆっくりとした速度で運行されている事が伺えておりました。
約7分ほどこの駅にて停車しますので、この間に撮影タイムであります。この間にもマヤ34-2009の車内におります職員の方もトイレに行かれる方もいらっしゃるなど、わずかな時間に内外において動きが見られておりました。
その停車中の間には、MR-600形気動車MR-612号によります伊万里行き列車がやってまいりました。この蔵宿駅停車の理由も、この列車との行き合いであったためでありましたが、その下の画像にもありますように、MR-600形気動車とマヤ34形検測車との2ショットの姿も収める事ができました。まさに、このMR線でしかできない事でもありますので、正直いい姿を収めていたなと思います。
(MR-612号との2ショット)
また、この停車中の間には、MRの職員さんとの談笑する姿が見られておりました。このうちの職員の方お2人はこの「マヤ検」を追っかけ撮影を行っていたとの事でありまして、先述のように年に2度しかこの「マヤ検」は来ない訳でありますので、珍しい姿を会社を挙げてこの「マヤ検」入線の姿を収めようとしている姿が伺えておりました。
またこの時には、私を含めまして数名の方が撮影に来られておりまして、この姿を収められておりましたが、この後この「マヤ検」も発車の時を迎えます。そのマヤ34-2009もヘッドライトを点灯させまして、迫ります発車の時を待っておりました。
こうして、有田駅までの「マヤ検」が発車しました。推進運転でありますので、通常よりも約3分ほど長い約10分をかけまして有田駅を目指す事になります。ちなみに、先述の理由もありまして、最後の画像にもありますように蔵宿駅の有田方の出発信号機も1・2番ホーム両側に設けられている事もお分かりいただけるのではないかとも思います。
尚、この「マヤ検」はこの後画像にあります有田駅2番ホーム到着後に、今度はDE10 1195号機を先頭にしましてJR佐世保線を経由しまして早岐駅(佐世保車両センター)に戻りまして、この日の「マヤ検」を終えておりまして、実質一周した形で検測を終えております。
前回・今回と、伊万里→有田間で推進運転を行います松浦鉄道西九州線検測に関しましてご紹介しましたが、私自身、この時これまでこの推進運転によります「マヤ検」を収めた事がなかっただけに、このような形で運行されている事を初めて知る事ができておりましたが、第3セクターの鉄道にJRの車両、しかも検測車両が入るだけでも違和感があるだけに、加えてこの推進運転ですのでより珍しさもわかるのではないでしょうか。そんな今度の検測は秋になるようですが、恐らく推進運転での検測のようですので、ご覧の皆様も、収めに行かれますか、もしくはそのような形で運行されている事を存じていただければと思います。