NO.2521 福岡の郊外にかつて存在、旧国鉄勝田線廃線跡探訪(その1、旧筑前勝田~旧下宇美編) | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 
 かつて、上の画像にあります福岡市博多区の吉塚駅より、福岡県宇美町の筑前勝田駅まで、旧国鉄の「勝田線」と言う路線が存在しておりました。

 

 この旧国鉄勝田線は、先述のように吉塚駅から筑前勝田駅までの13.8キロで存在しておりまして、このうちの1.5キロが篠栗線と共用で線路を使用しておりまして、その分岐部分では現在は画像2にあります柚須駅(福岡県粕屋町)が設置しておりまして、実質その柚須駅から筑前勝田駅までが廃線跡区間となっております。

 

 そんな旧国鉄勝田線は、元々が筑前参宮鉄道が敷設しました鉄道路線でありまして、大正8年に全線が開業されております。その後、現在の西日本鉄道(西鉄)であります九州電気軌道の宇美線として運行されておりましたが、昭和19年に国有化されまして、勝田線となったものでありました。
 
 
 この勝田線は、戦前・戦後と、沿線の糟屋炭田から産出する石炭の輸送で賑わっておりまして、志免町には「国鉄志免炭鉱」と言う炭鉱も存在しておりましたが、その後閉山しまして貨物輸送自体は衰退しますが、その後沿線では宅地化するも、本数自体は以下画像にもありますように客車列車の運行を含めましてわずか上下各7本しか存在せず、その結果並行するように運行されております路線バスに客を奪われた事もありまして、結局昭和60年に廃止と言う事になったものであります。
 
 (昭和58年改正、吉塚→筑前勝田間)~半数以上が客車列車です

 

 (同、筑前勝田→吉塚間)

 

 

 現在は、先述のように並行するように西鉄バスの路線バスが画像のように走っておりまして、行先も見ましても、福岡市の博多駅(博多バスターミナル)や天神方面へのバスが運行されております。尚、画像の34番系統(大濠公園・天神・博多バスターミナル~亀山~下宇美~勝田~原田橋)がいわゆる「勝田線代行バス」となっております。

 

 (勝田バス停)~旧筑前勝田駅の前にあります
イメージ 1
 
 (西鉄バス、34番系統原田橋行き、1045・いすゞQRG-LV290Q1)

 

 

 さて、ここまで旧勝田線の概要をご紹介しましたが、今回から3回に分けまして、以前訪問しておりました旧勝田線の廃線跡区間の探訪を皆様にご紹介してまいります。

 

 

 この旧勝田線におきましては、ほとんどの区間で歩道・自転車道化されておりまして、残りが自動車が通行できる道路、ショッピングモールの駐車場などとなっておりますし、駅の跡も公園化・駐車場化されておりまして面影はあまり見られなくなっております。実際に画像の旧筑前勝田駅跡も公園化されておりまして、見ただけではかつて駅があったと言う面影は見られなくなっております。
 
 (南側)

 

 

 ここから吉塚(柚須)方面へ向けて進んでまいります。が、しばらくはこのような歩道がこれからほとんどの区間で続く事にもなります。
 

 

 かつての線路跡でありました歩道(緑道)は、井野川沿いをしばらく進んでまいります。ちょうどこの通り沿いには桜の木も見られておりまして、桜が咲く時には満開の花が通りを覆う事にもなるようでもあります。
 
 (原田小学校付近)

 

 (井野川から少々離れたあたりでの撮影)
 
 この緑道の宇美町側には、このような案内板が各地に見られております。実際に緑の点線部分が旧勝田線跡でありました歩道となっておりまして、見ていてわかりやすくなっております。

 

 

 旧筑前勝田駅より約1キロ離れました貴船付近へやってきました。このあたりも引き続き井野川沿いの緑道ではありますが、ここには「貴船緑道公園」がありまして、ウォーキングをなさっている方の休憩場所となっているようでもありますので、そう言った事もありましてより楽しめるのではないかとも思います。

 

 (貴船緑道公園)

 

 

 貴船緑道公園より少々進みますと、自動車が通行できる道路に入ってまいります。こうして見ましても、通りでは宅地化が進んでいる事が見ていてわかりますが、それにもかかわらず廃止にした事が今思うと残念でならない所ではなかったかとも思う所ではあります。

 

 

 こうして、突き当たりの奥には宇美駅へと進む事になります。これより先は再び自転車及び人道となりまして、自動車の通行はできないようになっております。

 

 

 こうして、「香椎線」の宇美駅へとやってまいりました。ここから粕屋町の長者原、福岡市の香椎・海ノ中道・西戸崎方面へ819系蓄電池電車によります普通列車が運行されておりまして、そう言った事もありまして、福岡市のベットタウンとなっている事から、この宇美駅までの利用者も多く見られております。

 

 (旧勝田線線路跡上から)

 

 そんな宇美駅の向かい側に、実は「旧勝田線」の宇美駅も別に存在しておりました。それが以下画像の位置右側にあったと思われまして、ここに片面のホームが設置、また道路側に別に駅舎が建てられておりました。

 

 この理由としましては、かつて旧勝田線が筑前参宮鉄道の路線として建設されていたのに対しまして、香椎線が博多湾鉄道の路線として建設されていたためでありました。そのため、その後国有化されましても一つの駅として統合される事はありませんでした。そう言った事もありまして、宇美駅の駅前広場が広い理由もそういった理由がある事がお分かりいただけるのではないかと思いますが、もしも統合されていた・現在も存在していたならば、どんな感じになっていただろうかと思わざるを得ない所でしょうか。

 

 

 宇美駅の画像奥の旧筑前勝田方には、画像中央に木が見られておりますが、この部分から奥が旧勝田線があった部分にあたります。これだけ生い茂っている所からも、恐らくは旧勝田線があった頃からの存在のようですが、これこそいわゆる生き証木(?)ではないかとも思う所でもありましょうか。

 

 

 さて、これからさらに北上してまいります。旧勝田線は、かつて画像中央の位置の横断歩道がある部分に線路が延びておりまして、そこからその下の画像にあります今の細い路地の部分に線路が存在しておりました。この姿からも、かつて線路があったと言う印象はあまり見られなくなってしまっているのも伺わせる所でしょうか。

 

 (その先、細い路地を通ります)

 

 

 けれども、しばらく進みますとかつて線路があった事を表すようなものが続きます。まずは画像の橋の部分でありますが、よく見ますとSLの絵が描かれている事がわかります。

 

 さらに少々進みますと、宇美川に架かります「みやいで歩道橋」には、その下の画像のように動輪のモニュメントもありまして、ここに線路・橋梁があった事が見ていて伺えるようにもなっております。

 

 

 それら線路・橋梁があった事が伺える部分を過ぎますと階段が見られておりますが、おそらくは橋梁の手前あたりから勾配があったようです(最後の画像からそう言った事が伺わせます)。ですから、今はそんな面影は見られなくなってしまっておりますが、階段の上にかつて線路があったとしますと、そう思われましてもおかしくはない所ではあります。

 

 この階段を上りますと、廃線跡は車道として入ってまいります。それでも緑道は道路の左側に続いておりまして、歩行者はその部分を歩く事になります。ちなみに、画像奥にあります歩道橋がもしも廃止前から存在していたならば、その橋の下に勝田線は走っていたでしょうから、撮影にはもってこいの場所でもあったのかもしれません・・・。

 

 (歩道橋より)

 

 

 画像は旧勝田方を収めておりますが、緑道が見られていた中でこの部分は雑草が生い茂っている部分が見られております。けれども、この先は現在はコンビニが存在しておりまして、そして先の車道へとつながるようになっております。本当に、わずかではありますが、このような姿は全体的には少ない中で数少ない廃線跡の部分ではないかとも思います。

 

 

 そして、この撮影位置の反対側が、「下宇美緑道」となっておりまして、この下宇美緑道に入りましてガソリンスタンドの先の所に、旧下宇美駅のホーム跡が残されております。

 

 (旧下宇美駅ホーム跡)

 

 この旧下宇美駅ホーム跡も、おそらくは手前側の部分を短くしたのではないかと思われまして、それらしき跡が残されております。それでも、ホーム自体が撤去されている例もあるだけに、このように残されている事自体ありがたい事であると言えましょうか。

 

 また、この旧下宇美駅自体は、現在下宇美緑道公園として整備されております。よく見ましても手前にはベンチもありまして、今回の廃線跡撮影時によく見られましたウォーキングの休憩場所としてはふさわしい所でもあります。

 

 

 今回は、旧勝田線廃線跡探訪のその1として旧勝田~旧下宇美間をご紹介しましたが、ここまでご紹介した中でもこの旧勝田線自体廃線跡をよく活用されているのではないかと思っております。しかも緑道として歩道や自転車道として活用する事で、自動車の進入自体もありませんので、利用者にとりましても利用しやすいという利点もありますが、正直もしも鉄道として存在していたならばどうなのか徒歩思ってならない所ではあります。次回はさらに北上しまして、旧志免駅までの模様をご紹介してまいりますので、次回もご覧になっていただきたいと思います。