番外 「トロピカル号」の運行休止から1年、現在「パシフィックライナー」で活躍中の大分バス高速車 | コウさんのコウ通大百科 PART3

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(平成24年1月〜平成30年3月の記事はPART2の内容です)

 
 ちょうど1年前まで、九州内運行では数少ない夜行高速路線バスでありました、大分バス運行の大分~鹿児島線「トロピカル号」が運行されておりましたが、昨年3月末をもって運行を休止しておりまして、間もなく1年を迎えます。
 
 この「トロピカル号」とは、これまで列車でしか利用する事ができなかった大分から鹿児島間の交通路を高速道路を経由するバスとして平成2年に運行を始めたものでありまして、この大分バスと鹿児島交通(旧称、その後南九州バスネットワークへ)との共同で運行されておりました。
 
 運行区間は、大分~国道57号~九州自動車道~鹿児島と結んでおりまして、高速バスとは言えども大分~熊本市内間は一般道を経由する路線となっておりまして、昼行・夜行各1往復が設定されておりました。
 

 しかし、平成18年に南九州バスネットワークが撤退しまして、以降は大分バス単独で運行されておりまして、引き続き昼行1往復・夜行1往復が設定されまして運行されておりました。尚、運行ダイヤは鹿児島側の事業者に合わせていた所もありまして、運行事業者であります大分バスの本社・営業所があります大分での滞在時間が短い変則的なダイヤで運行されていたほどでありました。
 

 また、平成27年には昼行便が廃止されまして、以降は夜行1往復で運行されておりました。この背景には、昼行便の利用者が普段から夜行便よりも少なかった事が要因でありまして、多客期以外は10名以下での利用者がほとんどであったそうであります。その結果昼行便が廃止へと至っておりまして、以降昨年3月まで夜行便1往復のみの運行となっておりました。
 
 さらに、平成28年には「熊本地震」によりまして運行区間が犬飼久原~吉松間で東九州自動車道・宮崎自動車道経由に変更されておりまして、結局休止まで元のルートを走る事はありませんでした。
 
 
 そして、昨年3月末の運行を持ちまして、「トロピカル号」自体も運行休止となりました。この「トロピカル号」は、多客期は満席となる便が多かったほどでありましたが、閑散期には10名満たない乗車率であったとの事でありまして、利用客の低迷が伺えておりましたし、それとともに全国的に問題となっております運転士の人手不足も重なりまして、結果運行休止へと至ったようでありました。
 
 
 そんな「トロピカル号」の使用車両は、休止前には以下画像の3台が運行されておりまして、いずれも座席は独立3列シート車でありました。このうち2台が本務の車両、1台が予備車両となっておりまして、本務車両の検査時には予備車両が代走する姿も見られておりました。
 
 (42164・三菱PJ-MS86JP)
 
 (42170・三菱BKG-MS96JP)
 
 (12767・日野KL-RU4FSEA)~予備車両
 
 これら車は、日野セレガRシャーシでもありまして、西日本車体(西工)C-I架装車と希少でありました12767が平成13年式、PJ-規制の三菱エアロバスであります42164が平成18年式、そしてBKG-規制の三菱エアロエースであります42170が平成20年式となっておりました。
 
 
 その後、貴重な日野セレガRシャーシでもありました12767は廃車、42164に関しましては「Twitter」情報からも稼働が確認されておりませんので不明でありますが、この3台のうち最も新しい車でありました42170に関しましては現在は「パシフィックライナー」でラッピングを施しまして運行されております。今回は、その42170の稼働時の姿を収める事ができておりましたので、皆様にご紹介してまいります。
 
 
 現在、42170は先述のように「トロピカル号」の運行休止末期時に運行されておりました東九州自動車道を経由する路線であります、大分~宮崎線「パシフィックライナー」で運行されておりまして、大分バス便は大分発で運行されます始発便と、同じく大分行きとして運行されます4便目で運行されております。
 
 これらは「フェリーさんふらわあ」の神戸方面の航路に接続する形で王子港町発着として運行されているのが特徴でもありまして、フェリー利用者もこの「パシフィックライナー」を利用されているのではないかと思われます。特に、先月まで運行されておりました、宮崎〜神戸・大阪・京都方面に運行されておりました「おひさま号」が2月末で休止となりましたので、この便も大きな存在になりつつあるのではないかと思います。
 
 
 さて、大分王子港町始発の「パシフィックライナー」がやってまいりました。この日は所定の到着時刻が10時50分着ではありますが、時計からもわかりますように、10時35分には到着しておりまして15分早着でありました。私自身も、3年前に「パシフィックライナー」の大分バス便を利用させていただいた事がありましたが、この時も17分早着でしたので、それほど東九州自動車道が順調であった事が伺わせる所でもありました。
 
 この便では、10数名ほどの下車が確認されておりましたが、この車には大分市の佐賀関港~愛媛県伊方町三崎港間を結びます「国道九四フェリー」のラッピングが施されておりまして、上の画像のオリジナルの塗装の姿は隠れてしまっておりました。
 
 尚、「国道九四フェリー」のラッピング高速車には、運用を離脱・廃車となりました西日本車体(西工)架装の日野セレガ2台、そして現在はこの車と熊本~大分線「やまびこ号」に使用されております三菱エアロエースにのみ見られておりまして、「国道九四フェリー」ラッピングバスも世代交代がなされた事が伺わせております。
 
 
 さて、車は宮崎駅を発ちまして、終点であります宮交シティへ向けて発車して行きます。この時も、数名ほどの乗車が確認できておりましたが、それでも宮崎駅でほとんどが下車されていた事が伺わせていました。
 
 この車の公式側です。青地の「国道九四フェリー」のラッピングが目立っておりますが、よく見ますと夜行用でもありましたので、仮眠室の窓が見られているのがわかります。それにしても、西工架装車の場合は船自体は中央に見られていたものでしたが(NO.2125他参照)、この車の場合は後方に見られている事がお分かりいただけるのではないかと思います。
 
 (アップ)
 
 
 この車も、冒頭ご紹介しましたように、導入以来は大分~鹿児島間を運行していた訳でしたが、新たな転用先としまして今は大分~宮崎間を運行しています。しかも、独立3列シート車でもありますので、快適である事には間違いないのではないかとは思いますので。また、この路線では稀に本州向け(大分・別府~神戸・大阪・京都線「SORIN号」)の夜行用車両もこの路線に入る事さえもありますので、それほど独立3列シート車が入る機会も多いのではないかとも思われます。とにかく、「トロピカル号」休止によりましてどうかとも気にしていた1台ではありましたが、これからも多くの乗客を運んで運行していただきたいと思います。