《海北友松展》❶ 京都国立博物館 | 骨董水妖◇美術品は美術館で見るよりおうちで使う方がずっと楽しい!◇

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海北友松 (かいほう ゆうしょう)
天文(てんぶん)2年(1533)〜慶長20年(1615)

近江の浅井家の家臣の家に生まれましたが、
3才の時、戦で父親が討死。
織田信長によって浅井家が滅ばされ時に、兄も戦死し(友松41才)、
48才で逐電(ちくでん/逃げて行方をくらます)し
細川幽斎(室町幕府で将軍に仕え、その後織田信長にも仕えた大名。当時影響力が甚大の大文化人)の庇護の元で狩野派を学びましたが、
狩野永徳の死と共に、狩野派を離れたといわれています。
その後、独自の絵を極め、建仁寺大方丈の障壁画などを描いた絵師です。




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普段は焼き物などが展示されている3階の展示から1階迄
仏像の展示スペース以外を
海北友松の作品で埋め尽くす大規模展示。


3階は初期の作品。
初期と言っても、友松50才代。

写真撮影不可ですので、画像がなくて残念です。

岩を描く表現方の斧劈皴(ふへきしゅん/斧で切った切り口みたいに、一筆でまっすぐにシューっと斜めのラインを引く筆法)の一筆が
力強く、素晴らしい勢いで、とても長く引かれています。
よっぽど腕が良くないと
筆致はヨタヨタしてしまいます。

武士であったために、身体が鍛えられていたからこそ、
絵筆をとって初期の頃から、こんな素晴らしい線が引けたんでしょう。


もう一つ、海北友松は物凄くセンスが良いんです。
屏風や元は障壁画だった大作が多いのですが
画のモチーフの配置が素晴らしいの!



金碧(きんぺき)画といって
金箔を貼りつめた屏風に濃い色で絵を描いた屏風の最初期といわれる
《檜図屏風》
滋賀県立琵琶湖文化館蔵

屏風の右端に、
根っこから雄々しく伸びる2本の檜が、鬱蒼とした葉を湛えて描かれ
その葉先はごく繊細でリアル。
その背後に続く木々は、根元を描かず
金箔のモヤの中に浮かんでいます。

屏風の真ん中辺りに
檜の木のてっぺんだけが、濃い緑の葉の繁みとして描かれ
左側はほとんど金箔のみの空間。
下に僅かな水らしき画。

金箔の空間と檜の深い緑、
水平な水の姿と真っ直ぐな檜の幹。
絶妙なバランスの作品です。


出光美術館ご所蔵の扇面貼付屏風も
金箔を貼り詰めた部分と
波を描き銀粉を撒いた部分の交錯したバランスが本当に凄かった!
こんな感覚の画に出逢ったことがありません。


他の作品もそうですが、
海北友松さんの作品は実際のスケールでご覧にならないと、感じることは不可能です。



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重要文化財
花卉図屏風
京都 妙心寺

この作品も、実物を見るまでこんなに心を奪われるとは思いませんでした。

牡丹の花の花芯近くは、えもいわれない深い赤。
一つ一つの花がまるで意思を持っているように
強く存在を主張します。
葉っぱがまた不思議な描き方。
アウトラインは描かずに、色のグラデーションをもって表現されています。
やはり、意思を持っているようです。

この作品の前から離れられなくなりますが
胸がバクバクして、眩暈がします。
作品の世界に取り込まれてしまいそう。


長くなり過ぎましたがので、あとは後半に。



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お茶休憩して自分を取り戻します。
この日は、薄桜色の結城紬に生成の自然布の帯。
桜が彫金された帯留。


海北友松展
5月21日(日)迄
前期4月30日迄 / 後期5月2日〜21日



骨董水妖
白井澄子
京都市東山区古門前通大和大路東入元町367-4杉山ビル3階
phone/075-541-5128 

京阪電車三条駅2番出口徒歩1分
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