『いつも だれかが…』 | ことりの木ノート vol.2

ことりの木ノート vol.2

日々のくらしのささやかなできごと 人との交流 大好きな手しごと 絵本 やりたいことへの一歩一歩…
色々な糸を紡いでいつか「ことりの木」というぬくもりのある布を織り上げていけたらと思います。
そんな夢への覚え書きノートです。

もう1ヶ月近く前のことになります


天気予報で警戒はしていたのですが


ちょうど夕方

よりによって

娘(三女)がもうすぐ作業所を出る時間


急に暗くなり

みたこともないような真っ黒な雲が

北の方から迫っていました


どうしよう…

迎えに行こうか

それともあの雨雲が来るまでに

まだ間があるか…


先に

娘に作業所に留まるように連絡入れようか


それとも心配しすぎ?


あれこれ迷い

雨雲レーダーとにらめっこしながら


とりあえずバス停に向かいました




ところが

そんな私の

楽観的な思いを打ち砕くように


思ったよりずーっと早く

状況が一変(๑°ㅁ°๑)‼


冷たい風が強くなり


あっという間にボタボタと

大粒の雨が落ちてきました


これは尋常ではない


前日の

別の地域での

ヒョウの被害を伝えるニュースが

頭をよぎりました


ものの数分(数十秒かも…)で

傘がさせないような

一歩も進めないような風と雨


恐怖で頭の中が真っ白になったその時




ウソみたいに



忽然と目の前に現れたのは

空車タクシー( Ꙭ)!


いつもタクシーなんて

そう通る場所ではないのに


慌てて手を挙げて

タクシーに飛び乗りました


すぐ娘に電話をして

作業所で待つように伝え


タクシーの運転手さんに


「ありがとうございます!

ウソみたい…

本当にありがとうございます!」

と繰り返していました



すごい雨と風と水しぶきで

フロントガラスの向こうは真っ白


何も見えない


まもなくバラバラバラと

車に降り注ぐヒョウ


さすがに運転手さんも

“これは怖いなぁ…”と



そう。

もしあの時タクシーが現れなかったら

住宅街のあんな場所で

どうなっていたんだろう・・・




なんとか無事に娘を連れて

またそのタクシーで

家に戻ることが出来ました


私…

生まれて初めて

おつりはとっておいてください

本当にありがたかったので」


なんて言ってしまいました(笑)


運転手さん

「いや…私はただ走ってただけですけど…

ではありがたく頂戴します」と

ニコニコと受け取っていただきました

( *´艸`)


 


その日の夜

長女に


“今日大変だったんだよ


タクシーが目の前に現れた時一瞬

「あ、神様かおばあちゃん(私の母)だな」

って思っちゃった”

とLINEを送ると


「きっとおばあちゃんがお母さんに

          迎車送ってくれたんだね」


長女からのそんな返信が心に沁みる.。.:*♡



やっぱりそうだ。


母がきっと空から見ていて


“あぁまた…あのこったら

しょうがないねぇ…


見るに見かねて

タクシー送ってくれたんだよね( *´艸`)



それであれからなんとなく


この絵本を母の写真の横に置いて

眺めています


『いつも だれかが…』

  ユッタ・バウアー 作・絵

 上田真而子 訳

 徳間書店


これは三女がまだ小さかった頃

通っていた療育施設の図書コーナーで

出会った絵本


この物語は

幸運だった一生をふりかえる祖父が

実は(本人は知らないうちに)

お母さんのような天使がいつも寄り添い

守ってくれていたことが描かれています



物語の中には

友だちがナチスに連れ去られる

悲しいエピソードも


天使も守れないことがある…


さらに大きな


大いなるものの意志が働いている…と言うことなのかな


祖父自身ももちろん

天使まかせで幸運な一生だったのではなく


自分で一生懸命生きてきたのですから。



さて…

“いつも誰かが見守ってくれている”

という感覚は


実は小さい頃から私の中にありました


それは私は会ったことのない

赤ちゃんの頃亡くなった兄


母は

私が小さい頃からよく言っていました


“H(兄)が亡くなった時に来てくれたお坊さんが「この子がこの家の悪いことを全部持っていってくれたから、もうこんなに辛いことは起こりませんよ」って言ってくれたんだよ・・・”



母のあまりに大きな嘆きに

お坊さんがかけてくれた言葉なのだと思います


母から繰り返し聞いたその言葉はいつしか

私の中に深くしみ込んで


辛いことや

もうダメだ…なんてことに陥るたびに

どこかで私を支え

励ましてくれたように思います


運か

運命か

本当か

思い込みか…

そんなことわからないけれど


この日のこんなできごとを


ただ“ラッキー!”と思うより


誰かに守られているという思いの中で

「ありがとう」と感じられたら


それはなんだかあたたかみがあって

幸せなことのように思います