手放せなかった『岩波の子どもの本』たち | ことりの木ノート vol.2

ことりの木ノート vol.2

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色々な糸を紡いでいつか「ことりの木」というぬくもりのある布を織り上げていけたらと思います。
そんな夢への覚え書きノートです。

本の整理をしていて

久しぶりに開いた絵本

特に左の2冊は

見るからに年季が入ってます( *´艸`)


以前『ちいさいおうち』のことは

こちらに書かせていただきました ↓



なので

あと2冊の絵本のこと


『九月姫とウグイス』

  文 サマセット・モーム

 え 武井武雄

 岩波書店

 昭和36年第5刷(昭和29年初版) 


150円!


まだ『岩波子どもの本』というシリーズ名が付く前の絵本のようです



多分自分が幼少期に読んだもので

いま手元にある

一番古い絵本でしょう



『九月姫とウグイス』は

「月と六ペンス」で知られる

サマセット・モームの

唯一の童話だそうです


小さい頃

この絵本を飽きずに

繰り返し読んだことを覚えています


武井武雄さんの独特の雰囲気の絵も

私の記憶の宝箱に

しっかり仕舞われていました


表紙の九月姫の絵

美しいですよね♡

小さなウグイスもとってもかわいい


お話の舞台はシャム(今のタイ)です

王様には9人の娘がいて

その末娘(九月姫)が主人公


8人のお姉さんたちは意地悪で

末娘は美しくて聡明で優しい…

これ、ありがちなパターンですよね(笑)



九月姫は

自分の部屋と外とを自由に飛び回り

美しい声で歌を歌うことり(ウグイス)と

仲良しになります


お姉さんたちは嫉妬から

九月姫の不安をあおり

ウグイスを鳥かごに入れるように仕向ける…



鳥かごの中で自由を失い

落胆し元気をなくし

歌わなくなるウグイス


嘆き悲しむ九月姫


そして……


 ウグイスは羽をひろげて、

まっすぐに、あおい空へとんでいきました

 お姫さまは、わっと、なきだしました。

じぶんのしあわせよりも、じぶんのすきなひとのしあわせを、だいいちにかんがえるのは、

とても、むずかしいことだからです。

(太字は引用です)



あらためて

こんなこと(太字の部分)が書かれていたんだなぁと心に留まりました



子どもの頃には多分、、、


王様が娘が生まれるたびに

全員の名前を考え直すところや


異国情緒たっぷりの

シャムのお城やお姫様の絵


美しくない姉たちが(笑)

何かと企みをする様子


そんなことに、面白さを感じていたように

思います



でも大人になってまた読み返すと


この物語の底に流れている

深いテーマに

はっきりと触れることができる


じぶんのしあわせよりも、じぶんのすきなひとのしあわせを、だいいちにかんがえるのは、

とても、むずかしいこと”


むずかしいからこそ


永遠のテーマとして

これまでも

たくさんの物語の中に

描かれているのでしょう


子どもにはなかなかピンとこないテーマかもしれないけど


幼い子どもの無意識の中で

この物語の奥深さに触れていたからこそ


手放さずに何十年もの間持ち続けていたとも

思いたいです




さて、余談になりますが…

裏表紙

うわっ…

とても汚くてすみません(◞︎‸◟︎)


右上のシール

“なかよし”か“マーガレット”の付録かな

( *´艸`)


子どもってシール好きですよね

何にでも貼ってしまう

“自分のもの”っていうマーキング?(笑)


昔…絵の上から爪でコキコキとこすって

そっと剥がすシール

よく漫画雑誌に付録でついていたんです


そんなことも

時代を感じて懐かしいです



『きかんしゃやえもん』のことは

また次回に…