本当の親友、理解者は、何人も必要なく、
一人いれば、それで十分幸せです。
それが「本当の」親友ならば。
■看護覚え書―看護であること・看護でないこと
フロレンス・ナイチンゲール
12 おせっかいな励ましと忠告
Chattering Hopes and Advices
さてもう一つの場合だが、
そしてこちらの事態のほうが多いのであるが、
患者が自分に関する話題から一刻も早く逃げ出そうとして
黙然として何も語らず、
ただシェイクスピア劇の登場人物よろしく
「ええ!」「はい!」「さあー」「そう!」
などとばかり受け答えしているような場合は、
患者は友人たちの思いやりの無さに気が滅入ってしまっているのである。
患者は、友人たちに取り囲まれていながら、
孤独をかみしめているのである。
彼は、自分に対する愚にもつかない励ましや勇気づけの言葉の洪水から解放されて、
たった一人でもよいから、
なんでも自分の思っていることを率直に話せる相手がいてくれたら、
どんなに有難いことだろうと思っているのである。
そのような相手になら、
「うまくいけばもう二〇年も生きられますよ」とか
「まだまだ元気に働けますよ」
などとしつこく喋り立てる連中を抜きにして、
自分の願いや、今後のことなどを
打ち明けて話すことができるであろうに、と思うのである。
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誰だって、自分にとって最大の問題は、
これからどうなるのか、どうすべきなのか、
という今後のこと、未来への願望です。
自分にとって大事なことだからこそ、
誰にでも話せるわけではない。
簡単に扱われたくないから。
一般論で片づけられたくないから。
自分でも、本当にそれでいいのか不安でもあり、
自信を持てないから、
誰かに聞いてほしい、認めてもらいたい、
そして、応援してもらいたい。
夏目漱石の「こころ」にも同じような言葉が出てきます。
個人的に一番好きな名言が。
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私は死ぬ前にたった一人で好いから、他(ひと)を信用して死にたいと思っている。
あなたはそのたった一人になれますか。
なってくれますか。
あなたは腹の底から真面目ですか」
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(夏目漱石 こころ)