昨日(19日)の朝日俳壇に、小学生俳人のかとうゆみさんの句が選ばれていた。
長谷川櫂氏選第9席である。
春の夜や形いびつなハンバーグ (成田市 かとうゆみ)
手作りハンバーグである。
春の夜、お母さんと一緒に作ったのであろう。あるいはお父さんかも知れない。
手作りハンバーグは、形がいびつで、大きさも不揃いなのが味わいである。
春の夜のあたたかくてすこしけだるい感じとよく合っているように思う。
「春の夜や」がうまい。小学生が詠める言葉ではない。
小学生の俳句といえば、
手作りの形いびつなハンバーグ
ハンバーグ形いびつでもおいしいな
のような、説明だけの句になりがちである。
小学生新聞や、ペットボトルのお茶の俳句コンテストならば、これでも十分入選するであろう。
「春の夜や」の風情に、かとうゆみさんの、小学生離れした力を感じる。
かとうゆみさんは、短歌も入選していた。
一日をきそく正しくチューリップねたりおきたりわらったり
馬場あき子氏選第10席である。
チューリップは、気温が20℃前後になると開きはじめ10℃前後で閉じる温度傾性を持っているため、毎日朝に開き夕方にすぼむ。
「きそく正しく」「ねたりおきたり」しているのである。
「わらったり」に感心する。
チューリップがいつ笑っているのか、わたしのような鈍感な人間にはわからない。
かとうゆみさんの感性のなせる歌である。
結句が5音で字足らずなのも、余韻を生んでいる。
わたしは、字足らずだと落ち着かず、つい余計な言葉をつけてしまう。
かとうゆみさんを見習いたい。