スネ夫外交 ――朝日歌壇から―― | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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 日曜日は、朝日歌壇である。

 今日は、わたしの歌が入選していた。

 

外交とはアメリカに媚売ることかジャイアンの前のスネ夫のごとく                (永田和宏氏選 第6席)

 4月にアメリカに外遊に行った岸田総理は、議会で演説を行った。

 その内容は、安全保障のためにアメリカに協力する、というものであった。

 要は、アメリカのために戦争します、ということである。

 アメリカ議会では大きな拍手喝采を浴びた。

 柔順な家来が忠誠を誓うというのだから、当然である。

 

 この外遊についてマスコミは、低下した支持率を得意の外交で回復する狙いがある、と報じていた。

 その得意の外交が、これである。

 

 わたしはいつも、生徒たちに国際関係の話をするときにドラえもんの登場人物に例えて説明する。

 与党自民党は、アメリカやロシア、中国と肩を並べるジャイアンになりたいのである。

 現実には、日本にそんな力はない。

 そこでスネ夫になってジャイアンと一緒に威張ろうというのである。

 日本はのび太でいいではないか。

 のび太はまわりの人々を不幸せにしない。

 

 世界から恐れられる必要はない。

 世界から尊敬される出木杉くんにならなくても、みんなから愛される国であってほしい。

 ジャイアンの前ではごきげんをとって媚を売り、ほかの人に対してはジャイアンの威を借りて威張る、そんなスネ夫のような国は恥ずかしい。

 

 岸田総理は、拍手喝采を送ったアメリカ議会を賞賛し、日本ではこんな拍手を受けたことがない、と嘆いて見せた。

 アメリカのごきげん取りばかりする首相に、誰が拍手するものか。

 パレスチナを攻撃するイスラエルを支持するアメリカを、議会で堂々と批判したら、わたしたち日本国民は心から拍手を送るだろう。

 

 同じ岸田総理の外遊を、わたしの歌のとなりで篠原俊則さんも詠んでいる。

 

乾杯をしてもいいのかバイデンの「同じ未来に」と上げるグラスに                 (観音寺市 篠原俊則)

 

 まったく、同感である。

 篠原俊則さんの歌はわたしの歌よりはるかに格調が高い。

 さすがである。