今日も、ツバメと文学について。
ツバメが活躍する物語といえば、オスカー・ワイルドの「幸福な王子」である。
わたしの大好きなお話で、ことのは学舎でも子どもたちに読ませている。
こんなお話である。
町が見下ろせる高台に、金銀宝石で飾られた王子の像が立っていた。王子は高い塀に囲まれた城で暮らしていたときには知らなかった、町の人々の貧しい暮らしを知った。
王子の足元に、南に帰る仲間に遅れた燕が休んでいた。王子はつばめに、自分の剣のルビーを病気の子を持つ貧しい母親に届けるように頼んだ。燕はしぶしぶ引き受けた。それから何度も王子は自分の体の金や両目の宝石を貧しい人に届けさせた。冬になり燕が死に、王子の心臓が割れた。
市長と市の議員がみすぼらしい王子の像を火にかけたが、鉛の心臓だけは溶けなかった。神様は天国で王子と燕に永遠の命を与えた。
王子とツバメの交流が美しい。
特にわたしが好きなのは、この場面である。
(引用は、『世界の名作どうわ2年生』による。)
王子は、とうとう両目をなくしてしまいました。そして、つばめにいいました。
「さあ、つばめさん、あなたは、いそいでエジプトへいってください。」
「いいえ、こうふくな王子。あなたは、もう目が見えなくなってしまいました。わたしがそばにいて、あなたの目のかわりをしましょう。」
つぎの日、つばめは、王子のかたにとまって、いろいろな国で見てきたことをはなしてきかせました。エジプトのさばくや、らくだや、スフィンクスのことからはじまって、たくさんのことをはなしたのです。
この話を読んで以来、ツバメはわたしのもっとも好きな鳥である。
わたしの家のツバメも、南の国でわたしの知らないいろいろなことを見てきたに違いない。
今度聞いてみようと思う。