孫文と民主主義 | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 ことのは学舎の授業で、孫文の伝記(『10分で読める伝記5年生』所収)を読んだ。

 こんなお話である。

 

 孫文が生まれた十九世紀後半の中国は満州民族の皇帝が治めていた。欧州の国々の進出を許し、土地や資源を奪われ、中国人は安い賃金で働かされていた。満州民族の役人だけが威張っており、孫文は満州人の政府を倒そうと考えた。商売に成功した兄を頼ってハワイに渡り、アメリカの進んだ文明や民主主義を学んだ。帰国後、仲間を集めて武装蜂起したが失敗し、おたずね者となった。日本で中国革命同盟会を結成し、民族主義、民権主義、民生主義の三民主義を提唱した。一九一一年十月に革命に成功し、翌年中華民国が誕生し、孫文が大統領になった。北京でまだ力を持っていた政府軍と話し合い、袁世凱に大統領の地位を譲った。袁世凱は自分勝手な政治を行い、その死後は激しい権力争いが起こった。解決の話し合いに出向いた北京で、孫文は病死した。弱小民族を助け平和な世界を作るという願いを民衆に託した孫文は、今でも中国人たちに尊敬されている。

 

 現在の中国は、孫文が目指した民主主義国家とは程遠い。

 民主主義の実現は簡単なことではないし、実現しても守り続ける努力をしなければ、すぐに失われてしまう。

 

 日本の民主主義は、どのようにして実現したか。

 民主主義は、本当に機能しているか。

 民主主義を守るために、国民は何をしなければならないか。

 数年後に選挙権を持つ子どもたちに、考えてもらいたい。

 もちろん、大人たちも考えなければならない。