ゴールデンウィーク中の朝日小学生新聞が溜まっていたので、まとめ読みしている。
気合の入った読み応えのある記事が多くておもしろい。
5月2日(木)の「いま、聞きたいハナシ!」は、矢部太郎さんのインタヴューであった。
矢部太郎さんはカラテカというコンビのお笑い芸人であり、漫画家としても活躍している。
芸人としての活動は見たことがない。
『大家さんと僕』という漫画が話題になったときに、新聞などで紹介されているのを読んだことがある。
アパートの大家さんのおばあさんと住人の矢部太郎さんの交流を描いたほのぼのとした味わいのある漫画であったように記憶している。
最近は、大河ドラマ「光る君へ」に、紫式部(まひろ)の従者乙丸役で出演している。
演技がうまいのかどうかはわたしにはわからないが、貧相で気弱で誠実な従者役がよく合っているように思う。
その矢部太郎さんのインタヴューの中に、印象に残る発言があった。
子どものころのエピソードである。
宿題が大きらいで、先生に「やりたくないです」と言ったら「じゃあやらなくていいよ」と言われて、1年間全く宿題をやらなかったことがあります。言ってみるもんだな、と思いました。
先生はどういうつもりで「やらなくていいよ」と言ったのだろうか。
なげやりだったのか、矢部太郎さんを見捨てていたのか、あるいは、宿題をやらなくてもほかの子に負けない学力があったのか、特別な才能があると見込んでいたのか。
いずれにしても、先生の判断は間違っていなかった。
いま、矢部太郎さんは立派に一人前になって生きている。
子どもにとって、学校や先生は絶対である。
わたしは子どもの頃、先生にさからったり宿題をやらなかったりということは、考えてもみなかった。
大人になって振り返ってみると、学校で教わることなど大したことではない。
「言ってみるもんだな、と思いました」という矢部太郎さんの言葉は、学校になじめない子どもたちに希望を与えてくれるだろう。
ただし、宿題をやらなくてもみんなが矢部太郎さんのようになれるわけではない。
特別な能力を持たない人が、計算もできず漢字も書けないまま大人になったら、生きていくのが難しくなるだろう。
宿題をやらないのにも、それなりの覚悟が必要である。
リスクを考えると、わたしはやはり子どもたちに、宿題をやりなさい、と言ってしまう。
これが正しいことなのかは、わからない。
自分が子どもたちに与える宿題は、やりがいがあって生きていく上で役に立つものにしようと考えている。