修学旅行で学んだこと | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 娘が修学旅行から帰ってきた。

 いちばんの思い出を聞くと、最終日の夜にホテルで徹夜したことだという。

 徹夜で何をしたか。

 トランプやUNOではない。

 枕投げでもない。

 中学女子らしく、恋バナ、でもない。

 人間関係のトラブルで悩む友達の、相談相手になっていたという。

 

 いつも学校で仲良くしている友達でも、24時間朝から晩まで行動を共にしていると、嫌なところや合わないところが見えてくる。

 お泊り行事では、かならず人間関係のトラブルが発生するという。

 自我の目覚める年頃である。衝突があるのは当然である。

 

 娘は、泣きながら苦しみや怒りを訴える友達の言葉を受け止め、一緒に苦しみ、一緒に怒り、ときに励まし、朝を迎えたらしい。

 先生は介入して仲裁したり、見回りをして早く寝るように指導したりは、しなかったという。

 自分たちで解決することを期待していたのであろう。

 

 小さな液晶画面の中で言葉だけで伝え合うのと、同じ空間で声や表情に触れながら話し合うのとは、コミュニケーションの密度が違う。

 分かり合う深さが違う。

 AIには、人の悩みを受け容れることも、人間関係のトラブルを解決することも、できない。

 娘たちにとって、この修学旅行は大きな学びになったにちがいない。

 神社仏閣や名所旧跡を見て回るより、はるかに大切なことを学んだ。

 

 娘は、月曜日に学校に行くのが、気が重い、と言っている。

 大人になればいい思い出になるのかもしれない、とも言っている。

 楽しいことばかりでない、いい修学旅行だったようである。