朝日歌壇から | ことのは学舎通信 ---朝霞台の小さな国語教室から---

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考える力・伝える力を育てる国語教室 ことのは学舎 の教室から、授業の様子、日々考えたこと、感じたことなどをつづっていきます。読んで下さる保護者の方に、お子様の国語力向上の助けとなる情報をご提供できたらと思っております。

 日曜の朝は朝日歌壇である。

 今日も観音寺市の篠原俊則さんの歌が2首選ばれていた。

 1首目は、高野公彦氏選第6席。

 

こんなにも豊かな笑顔をもっていたマスクを着けず下校する子ら

 

 こういう生活短歌を、さらっと詠める人である。

 篠原俊則さんの作では、先週の馬場あき子氏選第6席の歌にも感心した。

 

水を飲む二匹の猫の柔らかき舌音聞こゆ春のあきつき

 

 水を飲む猫の舌音に耳を止める感性の持ち主なのだ。

 篠原俊則さんと言えば、何と言っても、反戦・反権力の歌人である。今週はこんな歌が採られていた。永田和宏氏選、第4席。

 

「新兵を募集してます 要るものはあなたの命ひとつだけです」

 

 生活短歌も、花鳥詠も、反戦歌も、どれも見事である。どれだけたくさんの引き出しを持っているのだろう。

 どの歌もよどみなく自然にさらっと詠んでいて、言葉をひねくり回したあざとさを感じさせない。十分に考え尽くされた表現でありながら、苦労や工夫のあとを見せない名人芸である。イチロー選手が高度なプレーを簡単そうにやってのけるのに似ている。

 投稿歌人として、最高の水準にあるのではないか。

 

 山添ファミリーのお母さん、聖子さんの歌も素敵であった。それについては、明日書く予定です。