昨日、フランスの外出制限が2週間延長されると発表になった。
しかし更に4月いっぱいまでは延長されるのでは…というのが私の周りでの一般的な捉え方だ。
個人的にも、少なくともそうなるのではないかと思っている。
それより更に数日遡ると、私が前回の記事(「プリンターありませんか」)で探し求めた「外出証明書」は更に厳しいフォームに変更になった。
く、苦労して手に入れたのに…。
まぁいい。
私には今度こそ「もう使えない古い外出証明書の裏」という手書きできるスペースがある。
えぇ、次の外出時には手書きしてやる。
すごい文字量だけどな…。
外出の時間まで書かなければいけなくなった。
長く外にいすぎてはいけないと言うことらしい。
ところで、私はワンルームの一人暮らしだ。
日本やその他外国の友人からも、フランス在住の友人からも「孤独であること」を主に心配してもらっている。
しかし実は、まだそれほどストレスが溜まっているとは思わないのだ。
この間の月曜日に買い物に出たが、その後はこの部屋から出ていない。
次の月曜日まで外出しなくても、食糧的にも精神的にも別に大丈夫だなぁ…などと思っている。
周りの留学生と比べても、どうも引きこもり自体を辛く思う気持ちが少ないようだ。
理由を考えてみた。
結論はこうだ。
私はピアニストだ。
「1人きりで狭い部屋(防音室)に籠る(練習する)」という状況に、常人に比べ遥かに耐性がある。
なんなら今までの人生をかけて、この外出制限に対する訓練をしてきたと言ってもいい。(?)
人生、何がどう転がって役に立つか分からないものだ。
—————————
さて、非常事態には、それぞれの人間の新たな一面が明らかになることがある。
怖くて日用品を買わずにはいられなくなってしまう人、
勇敢にも危機に最前線で立ち向かってくださる医療関係の方々、
近隣の動けないお年寄りのために買い物を代行する若者、
孤独な友人にマメに連絡を取ってくれる人…(皆ありがとう)
私もあらたに自分自身を発見した。
私、食への執念がすごい。
こんな日々でも、どうしてもどうしても、少しでも不味くないものが食べたい。
もう、日々の楽しみと言ったら食べることくらいなのである。
はじめての一人暮らしという背景もあるが、今までの人生でサボっていた分を取り返す勢いで料理を学んでいる。
(注:これからレベルの低い話が暫く続きますが、一人暮らし初心者だと思って温かく見守ってください)
「野菜の保存の仕方」で検索し、長く保存できるものから買い、ちゃんとキャベツの芯はくり抜いて、濡れキッチンペーパーを詰めて裏返して保存しているし
シャキシャキ感が保たれるらしい。
米は鍋で毎食分丁寧に炊くし
はじめチョロチョロ、なかパッパッである。
副菜兼保存食としてオイルサーディンのマリネを作ってみたり
もう食べきっちゃったけどね。
鳥モモなど食べた日には、骨をそのまま捨てるのが悔しすぎて鶏ガラスープを取った。
いい絵面ではないので、写真は無し。
悲しいかな、私の料理の腕がぐんぐん伸びている(当社比)のを横で見て褒めてくれる人はいない。
奇跡的に美味しくできた日も、まぁまぁ程度の出来だった日も、感想を言い合いながら一緒に食べてくれる人はいない。
全て自分のため、自分のみの喜びのためである。
それだけのために、面倒臭いとも思わず毎日せっせとネットで情報を集め、レシピを検索し、工夫をしようと思えるのだから、たぶんこれは執念と呼んで良いと思う。
そして今「どうしても精神的に辛い日が来たら、ご褒美として食べよう…」と取っておいている食材がこれ。
豆腐である。
これはまだコロナ騒ぎが大きくなる前に買ったものだが、11月まで保存できるという驚異の保存用豆腐である。
豆腐を売っているスーパーは近くにないので、これは私にとって貴重な豆腐なのである。
(追加・買い物に行けるのは1キロ圏内と書いていましたが、買い物にはその縛りはないみたいです。失礼しました!)
私はこれで麻婆豆腐を作る日が楽しみで楽しみで仕方がない。
豆腐と同時に買った豆板醤など、その日のためにほぼ満タンのまま待機している状態である。
「出番まだ?」ええ、麻婆豆腐好きなんです。
東京にいたころよく食べていた母の味だし、意外と作るの簡単でしょ。
でもご飯何杯でもいけますよね。不思議。
日本にいる皆様、毎日豆腐を何の気無しに食べているそこのあなた。
豆腐を食べるときには私を思い出し、豆腐のありがたみを噛みしめながら食べてください。(?)
麻婆豆腐への期待が確実に精神的支えの一部になっている、ストラスブールで引きこもり挑戦中の松田がお伝えしました。
—————————
東京でもこの土日は外出自粛が求められているとか。
私はお気楽なブログを書ける程度の精神状態を維持していますが、やはり都市封鎖となれば、そして医療崩壊となれば、もはや今までと同じようには生きられません。
この社会への影響はしばらく続く、もしくは消えない跡になるかも知れません。
そうなる前に、どうぞ万難を排して、ご自分の体を、周りの方々の健康を優先する行動をなさってくださいね。
一刻も早く、事態がおさまりますように。
⇩フランスに外出制限が発令されてからの、15平米引きこもり生活のまとめ⇩
1週目はこちら「プリンターありませんか」
2週目はこちら「豆腐は大事だからとっとく」
3週目はこちら「植物に話しかけてはいない」
4週目はこちら「頼んでない楽譜が来た」
5週目はこちら「激闘、カスタマーサービス」