湊かなえさんの小説はほぼ読んだものと思っていたが、読み残していた作品があったのに気付いた。
10年以上前に出た、「花の鎖」という作品である。
同じ地方の町における、3人の女性のそれぞれの物語が交互に展開されていく。
町の和菓子屋、花屋などがそれぞれに関わってくるのであるが、3つの物語はなかなかつながっていかないのがもどかしくもあり面白く、読みやすい文章とともにぐいぐい読ませる小説であった。
かなり後半になって3人の話が少しづつつながっていき、最後には謎部分も含めてきれいにまとまって実に痛快だった。
いわゆる「伏線回収」が見事な作品であった。
私はミステリを読んだ後、よほどでない限り2度読みすることはない。
しかもちょっと読み返して「ああ、ここに伏線があったんだ」と感心する程度のことはあっても、丸っこ読もうとは思わない。
だがこの作品は登場人物が多く、それぞれの物語とのつながりや人間の関係性などがかなり複雑で、痛快な読後もまだきちんと自分の中ですべて整理されていないことにも気づいた。
そこで2度読みを実施したのである。
結末を知ってから冒頭を読みつつ、いろんなつながりがきれいにつながっていくのもまた痛快であった。
わざと部屋を汚してからきれいに整頓していく、みたいな感じである。ちょっと違うか。
未読の方には強くおすすめしたい!