石積み学校 | 寿建設 社長ブログ

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過日、日本経済新聞の最終面「文化」に興味深い記事が掲載されていた。

タイトルは

石積み技術、「学校」で継承

 

文を書いたのは東京工業大学で景観工学を専門としている教授である。

 

昔から農地でも道路でも河川でも、擁壁面には石積みの技術が活用されてきた。山国で地震も多い日本では特に強固な石積み技術の重要性が高かったはずである。

モルタルなどの接着剤を使わない方法を「空石積み」と呼ぶが、人類が文明的な生活を始めた頃からこの石積みは行われてきたであろうから、土木技術の原点の一つといえよう。

技術はずっと伝承されてきたはずであるが、コンクリートやブロックの普及、そして中山間地域の人口減少などもあって貴重な技術伝承が難しくなっているという。

そのことに課題を感じた著者は、修復と技術伝承を進める「石積み学校」を10年前に設立したのだそうだ。

さらには若い人への継承と応援者の獲得を目的に、昨年は高校生が技術を競う「石積み甲子園」を開催したとのこと。

 

以下の文章が心に響いた。

石積み擁壁をつくるという技術の背景には、農村が培った文化がある。それは、今ほど科学技術がない時代の「持続可能な暮らし方」そのものだ。伝統のなかに、未来を生きる持続可能性への知恵が息づいている。

 

アフガニスタンに水路の整備をした医師の中村哲さんは、最新技術を使わず、現地の人が建設・修復できるようにと、太い針金で枠を組んで中に石を詰める蛇篭で用水路の護岸を形成したのは、まさに「持続可能」を重視したためだ。

中村哲先生の「土木のこころ」 | 寿建設 社長ブログ (ameblo.jp)

 

「持続可能」な社会づくりのために取り組まれている「SDGs」の観点からも、この取り組みは意義が大きいと思う。

 

実は最近、私は城や古い街道などの石積みを見るのがとても好きである、興味を持って石積み学校のHPも見せていただいた。

一般社団法人石積み学校 (localinfo.jp)

 

以下の文章、なるほどと思った。

 

石工さんの間では、「一ぐり、二石、三に積み」という言葉が伝わっていたそうです。

石積みにおいて一番大切なのは積み石の裏に詰めるぐり石、二番目が石の質、三番目が積み手の技術という意味です。つまり裏にしっかりとぐり石を入れ、すぐに風化するような石を使わなければ、積む技術が多少つたなくても構造物として十分に耐久性のある擁壁ができるということです。崩れている石積みを見るとグリ石が少ない場合がほとんどです。現在では様々な施工基準に空石積みは削除されてしまいました。しかしそれは決して空石積みの構造物が弱いからではなく、単に職人の腕に依らず均一に施工できることを求めた現代の一般的な建設業の理念に合致しないからです。

 

「均一に施工できることを求めた現代の一般的な建設業の理念」というのは、大きな課題の一面といえるのではなかろうか。