肉とすっぽん | 寿建設 社長ブログ

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書店で見かけ、このタイトルと装丁と帯に惹かれて購入した本。

肉とすっぽん―日本ソウルミート紀行(平松洋子/文春文庫)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167920159

 

帯にある通り、『「うまい肉」の根源を追って日本各地へ』という本である。

 

掲載の10章を羅列すると、羊、猪、鹿、鳩、鴨、牛、内臓、馬、すっぽん、鯨。

魅力的な言葉の並びである。

なかなか口にできないもののほうが多い。

 

これらがわれわれの目の前に「食べ物」として現れるまでの過程はそれぞれだ。

飼い育てる、罠や銃、網などで捕獲する、そしてよいタイミングで解体し、と。

その過程を克明に紹介したルポルタージュが、面白くないはずがなかった。

 

過程の内容だけでなく、文章に旅情や独特の味わいがあって私の好みだった。肉とカヌーではまったく世界が違うが、若い頃に夢中になった、野田知佑さんの名著『日本の川を旅する』を思い出させた。

 

どの事例も時間をかけて積み上げた技術やノウハウに驚かされるものであったが、特に第2章の「猪―島根・美郷町 害獣を恵みに変える挑戦」は、地方のこれからのあり方のヒントであると思った。一度行ってみたい場所がまた増えた。

 

この面白さは読んでいただくしかない本であるが、特に印象に残った「はじめに」の締めの言葉を紹介したい。

 

 古来から人間は、「食べて生きる」という命題に向き合いながら生きてきた。魚介であっても、野菜や木の実であっても、動物であっても、それらはみな等しく「食べて生きる」ことの意味を問いかけてくる。

 日本各地の魅力的なひとびとを訪ねながら、さまざまな動物とその肉について、見て、聞いて、食べて、自分でつかんだ言葉がふたつある。

 肉にも「旬がある」。

 うまい肉は「つくられる」。