司馬遼太郎氏が語った「土木」 | 寿建設 社長ブログ

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先日お会いした知人が、かの故・司馬遼太郎氏が土木学会の講演で「土木は社会の圧倒的な味方である」という名言を残されていて、ご自身もその言葉の影響を受けて土木技術者として続けて来られたとおっしゃっていた。

詳しい内容を知りたいと思ってネット検索したところ、20余年前の土木学会の資料に記載されていたのを発見した。(写真はイメ―ジ、原文のまま)

80 周年記念式典の特別講演で司馬遼太郎氏は,次のように説かれた.「土木というものは本来,人民に幸福を与えるためのものである.土木は他の学問や技術と違って,国家とか行政あるいは社会の中心に座ってしまうので,技術を追求するのみでは現実に生きてこない.社会という人間の体のような組織の中心にあるものだから,環境の問題を考えないと成立しない学問である.人体と同じ生命体である社会の中で外科的な手術を施すものだから,土木をやる人は社会科学とか文学的なデリカシーのある教養の固まりのような人でなければならない.そうでないと社会の味方だったこの学問が,社会の敵となるような非常にきわどい時代に差しかかっている」と.

 

※以下より抜粋

http://www.jsce.or.jp/top/news_sorce/ryakushi/25.html

 

とても響く言葉である。

社会の中心にいる仕事だからこそ、しっかりした倫理観や、社会観を持っていなければいけない。まさに、である。先月読んで感動し、多くの人に勧めている「大地を拓く」で描かれた日本の歴史における土木の関わりもまさにそんな歴史であった。

 

そして警告してされているように、一方で土木の世界には私欲に走って社会の敵になる行為をする方が時々現れ、せっかくの本質を世間に大きく誤解させてしまうのも事実。

 

つい数日前、地元紙のトップ記事で県内建設会社の社長と幹部、及び発注者職員による汚職・逮捕事件の記事が大きく取り上げられた。翌日以降も連日各メディアで大きく扱われ追及が続いている。

地道に建設業の魅力発信を続けていても、こんな大きなニュースが出るとすべては悪い方に塗り替えられてしまうようで本当にがっかりする。

 

今後の各種問題解決をしていくにあたり、何よりもまず確固たる「土木のこころ」がスタート地点ではないか。

司馬先生の言葉、しかと心に刻んでいきたい。