読んでいた小説に、「歩荷(ぼっか)」の仕事をされている方が登場した。
きっとこの言葉を知らない方が少なくないだろう。
「デジタル大辞泉」ではこう解説している。
荷物を背負って山越えをすること。特に、山小屋などに荷上げをすること。また、それを職業とする人。
いわば背負う仕事である。
小説に登場した男性は100kgを背負ったと書いてあった。実際にプロはそれくらいの重さを背負って山を登ったようだ。
実は私も大学生時代に何度かであるが、この歩荷アルバイトをしたことがある。
当時登山を活動のメインとするクラブに入っており、昭和の終わりの時代にはまだ存在した「しごき」のような訓練を経て、
50kg近い荷物を背に3,000m級のアルプスを登るようになっていた。
当時の写真。
先輩の指示でキスリングと呼ばれる綿の大型ザックに石を入れ、わざわざ重くして鍛えていたのだ。(左から3番目が私)
経験を積んでかなりタフな身体となったと思われる4年の頃だったか、神奈川県の丹沢山塊にある山小屋のご主人と縁が出来、歩荷のバイトの話が舞い込んだと記憶している。
350ml飲料24缶入った箱を運ぶのだが、金額は覚えていないが「1箱いくら」というアルバイトだった。時間給ではなく、重量給というのがよかった。
その箱だと単純に飲み物だけで8.4kgだから缶と箱の重さを加えて9kg弱程度か。
たぶん4箱か5箱は背負ったであろう。
うーん、いくらだったのか思い出せない。
でも意外と景色を見ながら楽しく歩いていた記憶がある。
ネットで現在の歩荷のバイト情報を検索してみた。私が目にした限り、現在は日給のようである。
日本の労働条件として「重量給」は認められないのかもしれない。
ちなみに読んだその小説はこちら。