学生時代はよく山に登ったものだ。
ひょんなことからワンダーフォーゲル部に入ることになり、たっぷりとしごかれ鍛えられ、わずかな経験で40キロを超すの荷物を背負って3,000m級の山を縦走したので、
その後はあまり苦にならずにいろいろ登ったものだ。
思い出深い山に、鹿児島県の「開聞岳(かいもんだけ)」がある。
まずその姿が何より印象的である。
薩摩半島の最南端、海に面したところに、きれいな三角形なのだ。
位置といい形といい、まるで人工的に整えたかのような見栄えである。
上空からの写真も見つけたのだが、これを見るとさらに美しい。
加えて印象に残っているのが、登山ルートだ。
以下の絵のように、「逆のの字」とでも言おうか、「なると」と言おうか、くるんと輪を描くようなルートのだ。
標高は924m。
時々地図を見ながら、通常の登山とは違って山頂に吸い寄せられるような不思議な気分で登ったのを覚えている。
その印象が強すぎて、きっと素晴らしかったであろう山頂からの景色は記憶にない。
山頂での写真があった。青いヤッケが私。
当時私が撮影した開聞岳。
名称の由来は、一説によると「海門」という言葉らしい。
錦江湾の入口、いわば「海門」だという意味である。
あの姿はこの字ならぴったりだと思うのだが、なぜに「開聞」に変えてしまったのだろう。
思い返せば最後に目にして30年。
もう一度目にしたい。