3年ほど前に熊本で「円形分水」というものを初めて見た。
「水」の権利が今よりはるかに重要だった昔、定められた比率の通り正確に水を分けるために設けられた土木施設であることにとても感銘を受けた(恥ずかしながらこの時に初めて知った)。
↓↓以下参照
https://ameblo.jp/kotobuki5430511/entry-12247253629.html
少し前に福島県内にも同種の施設があることを知り、最近2か所を見に行ったのである。
熊本では「円形分水」と表記されていたが、「円筒分水」と呼んでいるようだ。
福島市 栗本堰の円筒分水
須賀川市 安積疎水白江幹線の円筒分水
用水を一旦地下に落とし込み円筒から湧き出させ均等に配分するという構造は同じである。
熊本の分水は円筒から均等にあふれ出た水を分けていたが、こちらは円筒の側面に同型の排出口を均等に設置することで正確に分配している。
どちらも、一見して水の配分が正確に行われていることが分かることが目的の施設であることには変わらない。
水利権を巡ってさまざまな争いになっていた時代に、地域の平和を守るために活用された土木技術といえる。
これは象徴的なものであるが、あらゆる土木の技術は社会を豊かにするためのものである。
道路も、トンネルも、橋も、そのような目的で建設されるのだ。
「円筒分水」を拝見して、改めてその「基本」を実感するのである。
これを機に「円筒分水」マニアになろうかと考えたら、すでにそのような方が多数いることが分かった。このサイトは必見。いろいろ行ってみようと思う。
●円筒分水ドットコム