読んでいた小説の中に、不思議な場面が出てきた。
精神状態がかなりよくない主人公の女性が、YouTubeで耳掃除の動画をずっと見続ける、というシーン。
こんな文章である。
黒人男性の耳の奥へ奥へと入ってくややぼやけた映像は、米国の耳鼻科でマイクロスコープ撮影されたものらしい。かさぶたのような耳垢がごっそり掻き出されるのを見ると、へその辺りが粟立ち口の中に唾がたまる。詰まっていた巨大な垢が螺旋を描きながら取り除かれ、ぽかりと暗い穴が現れる様子は、震えるほどに爽快だ。
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主人公の心理状態を描写しているのであろうが、自分の耳掃除をするのではなく、YouTubeの動画をずって見る、というのがとても印象的であり、不気味さを覚えた。
本当にそんな動画があるのかと思って検索したら、本当にたくさんあってびっくり。
恐る恐るその中の1編を見たが、私はかなり気持ち悪くて途中から見ることが出来なくなった。
世の中にはいろいろな趣味や癖があることは十二分に理解しているつもりだが、こんな嗜好ジャンルがあって動画で投稿までされているとは。
まだまだ知らない世界があるに違いない。