自宅の本棚からかなり古い文庫本を取り出して開いた。
そして文字がとても小さいことに驚いた。
ただでさえ老眼が進行して文庫本は読みにくいというのに、ここまで小さいとかなり大変である。
昭和31年に発行され、昭和42年に版を改め現在のレイアウトになったものを平成元年に92刷目の本(新潮文庫「智恵子抄」/高村光太郎)と、つい最近発売されて購入した文庫本を並べてみた。
左が古い本。
同じ高さに揃えて撮った写真をアップすると、こんな感じ。
左の古い本に比べて、倍とはいわないが字が1.5倍くらい大きくなっているのが分かる。
20年以上前に亡くなった母方の祖母が元気だった頃、「何かプレゼントしたいけど何がほしい?」と訊ねたら、「本が読みたいけど字が小さくて読むのが大変でねえ」と言われ、文字が大きく印刷された小説を送った記憶がある。
今はそんなことしなくてもよいくらい大きいように思う。
ふと、これだけ大きさが異なると、1ページ内の文字数は相当違うのじゃないかと想像した。
昔の文字サイズで今印刷すると、ページはもっと減るのではないか。
もしかすると、1冊あたりのページ数を増やし、価格を上げるために字を大きくしたのではないか、とあらぬ疑いまで生じてきたではないか。
これはもしかするとすごい発見かもしれないと、はやる気持ちで1ページあたりの文字数を数えてみた。
すると、衝撃の事実。
昔の文庫本 一行の文字数38字 1ページの行数 16行
最新の文庫本 一行の文字数38字 1ページの行数 17行
なんと、一行あたりの文字数は同じで、行数は最新のほうが多いではないか。
つまり、今の文庫本のほうが文字数は多いのだ。
上記の写真の通り、よく見ると余白の大きさが違う。
昔の文庫本にくらべ、今のものはかなり余白が狭い。
字が大きくなった分だけ、余白部分が狭くなって文字数は多くなったのである。
印刷技術や製本技術との兼ね合いがあるのかもしれない。
もっと詳しく調べるのもありかと思ったが、せっかくの盆休みにまたそんなことを始めるのも馬鹿げていると考え、これでやめた次第。
いずれ書店別に調査してみたい気がする。
(今回は出版社が異なる本であった)