これはこういうもの | 寿建設 社長ブログ

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福島県福島市にある建設会社です。
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エピソードや思うことを綴ります。

ある宴席で、普段のお酒の飲み方が話題になった。
同席していたその方は、1年を通して日本酒の「熱燗」を飲むという。


熱燗というと「寒い時期に飲むもの」というイメージが強いので、夏にも熱燗というと、どうにも違和感を感じてしまう。

でもよくよく考えると、夏にもホットコーヒーを飲むし、熱いお茶も飲む。熱いお酒だって全然いいはずだ。
そもそも嗜好品のことだから、人それぞれ好みがあってしかるべきである


人間は「これはこういうもの」と思い込む習性がある。
生まれて、生活や仕事でいろいろな経験をしていく中で作られていく「固定観念」とでもいおうか。


当社では昨年から「改善」というテーマで業務の作業改善取り組んでいるが、何度もすばらしい提案を出してくれる人がいる。
そういう方は、きっとこの固定観念が少ないのだと思うのだ。


「これはこういうもの」というレッテルは、「夏の熱燗」と同じように実はあまり根拠がないことが多い。
柔軟な発想というのは、「これはこういうもの」というレッテルをいかにはがして考えることが出来るか、ということだと思う。


レッテルをはがす時のヒントは「目的」だと思う。


昨年出た改善提案の中から、一つ例で紹介したい。

トンネル工事で発生する泥などで汚れた濁水をきれいに処理する過程で機械から排出される脱水ケーキ(沈殿物をろ過して残った残骸)は、「ベッセル」という鋼製の容器を設置して受け入れ、人力で均等にならしてから

ユニック(クレーン付トラック)でベッセルを吊って運搬していた。

運搬する前に行う写真のような人力ならし作業は手間であり、またその後で重量物を吊り上げる危険作業もあった。


「これはこういうもんだ」の人は、そのままこの作業を最後まで続ける。


しかし提案された方は、そのレッテルをはがして、この作業の「目的」に目を向けたのだと思う。
要は脱水ケーキを集めて運べばよいだけ。それが目的である。

そして、「こういうもの」であった「ベッセル」を撤去し、そこ(脱水ケーキが出てくる箇所)に鉄製の杭と板で囲った集積所を作り、溜まった脱水ケーキをミニローダーという重機でで直接運搬するように設備と手順を改善したのだ。





出て来たものを人力で均して運搬するいう作業が、ミニローダー1台で簡単に処分できるようになったわけだ。
手間は大きく省け、もちろん安全性も高くなった。


面倒だな、危ないな、大変だな、と感じる仕事や作業があった時、「これはこういうもんだ」という思い込みから、やるべき「目的」を理解して「どうしたら善く改めることが出来るか」という発想につなげると、この事例のようにいろんなことが楽になるはずである。


これこそが発想の転換ではないか。