遠慮 | 寿建設 社長ブログ

寿建設 社長ブログ

福島県福島市にある建設会社です。
会社や現場の取り組み、
日々の仕事や取り組みの中での
エピソードや思うことを綴ります。

四半世紀ほど前、リュックサックにテントやコンロを積めて、野宿しながら日本中を歩いて旅行をした。
今さらではあるが、その旅の体験談は本になって出版されている。
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http://blog.goo.ne.jp/isobegumi/e/e3e06f9109165f246e6225ece61a881d


その旅で経験したさまざまな出来事ややりとりの中で、特に自分の現在に活きてると思うことがある。

青森県の海辺の町で、雨の中を野宿しようとしていた私を自宅に招いてくれた漁師さんとのことである。


その方は口癖のように「なーんも」(何も気をつかうなよ、という意味)とおっしゃりながら、見ず知らずの風来坊である私に風呂とフトンを用意し、山盛りの刺身を始めとした食事を作って下さり、一升瓶も空けて、「いいか、遠慮するなら泊めないからな!」と真面目な顔で言った。


私なりの解釈だが、その方の考えは「若い青年がこんな田舎町にせっかく来てくれたんだから客としてもてなしたい。遠慮などせずに気持ちよく受け取って、その分面白い話でも聞かせて私らを一晩楽しませてくれたらこれ以上の喜びはない」というようなことであったと思う。


ちょうど「ウニ」の季節で、漁師さんが獲ってきた山盛りのウニを、まさに遠慮なく食べた記憶がある。
「そんなに美味しそうに食べてもらえるなら」と、さらに山盛りを出して下さった。


以来、同じように泊めていただいたり、食事やお酒の案内をいただくと、即答で「ご馳走さまでーーす!」と笑顔で遠慮なく飲んで食べたものだ。そして宴会の席を大いに盛り上げたつもりである。(今は全然そんなことはない!)


もちろん相手によっては「図々しい」「無礼だ!」ときつく怒られたこともあるが、そのおかげでもっと深い関係になれたケースが多いし、今もその方々と関係は続いている。


遠慮して、控え目に控え目にでは、せっかくの出会いも発展しない場合がある。
「遠慮しない」で相手に入り込み、小さな出会いを大きくふくらませるという方法もあるということを、その漁師さんに教わった。