超個人的音楽のススメ。 -2ページ目

超個人的音楽のススメ。

好きな音楽をそれっぽく書いています。


今、巷のリスナーの間ではブラックミュージック由来のグルーブで「体を揺らせるロック」が
世界的なムーブメントを巻き起こしたEDMや、フェす文化の隆盛でロックシーンを席巻した4つ打ちロックに
対するカウンターカルチャーとしてここぞとばかりに流行っています。

EDMや4つ打ちロックの有する「オラオラ!無理矢理ブチ上げていくぜ!踊れよ!」感ではなく、
レイドバックの強い「皆気分が乗ったら自由に体揺らしてくれよな」というソフトなノリが
普段LIVEにいかないような層にも刺さっているからでしょうか。

さて、そんなブラックミュージックがグイグイな最中
歴史を振り返ると2000年後期から2010年初期にかけて、ポップパンクやエモパンク、オルタナパンクに
R&Bやジャズ、ファンク、ソウル、エレクトロとダンス色の強い要素を掛け合わせたサウンド、
総称として「ダンスエモ」「ダンサブルエモ」というものが世界的に流行った事をご存知でしょうか?
主に海外を中心に巻き起こったムーブメントなので、洋楽を聴かない方々は「は?」といった感じでしょうが
今日本で巻き起こっているブラックミュージックブームに非常に近い質感を持った音楽たちなので
ブームから5~7年ほど経った今、改めてご紹介させて頂きたいと思います。
花見の席などで流してノリノリになって下さい。


前置きが長くなってしまいましたが、ではどうぞ。




1.Panic! At The Disco「Time To Dance」


2.THE CAB 「Bounce」


3.Danger Radio 「Slow Dance With A Stranger」


4.The Higher 「It's Only Natural」


5.The New Cities 「Dead End Countdown」


6.The Arrival 「Turn The Page」


7.The Glamour Manifesto 「hide and eat」



8.Monty Are I 「Break Through The Silence」


9.The Audition 「Warm Me Up」


10.Set It Off 「Why Worry」













Silent Sirenの4thアルバム『S』。

3rdアルバムであり、初のセルフタイトルであった『サイレントサイレン』では、バンドの名を冠する通り
Silent Sirenのカラーとバンドサウンドの確立を提示したものであった。
実際世辞抜きにしてもそれだけのクオリティがあったし、彼女達が読モバンドからガールズバンドへ
と歩を進めた、その証明のような1枚だった。演奏力も、リリックも、バンドとしてもカラーも、
デビュー当時からの地続きにあるものが全て限界値まで引き上げられていた。

しかしながら彼女たちはこの『S』で、更にその上を提示して見せたのだ。
バンドのカラーはリファインされ、演奏力は更にビルドアップされ、すぅの紡ぐ歌詞に作詞者としての成長となる
言葉遊びと、女性としての成長を感じさせるセクシーな歌詞が搭載された。
多彩さと深みが増したアレンジも、彼女達がそれに耐え得る力を付けた事の証明に他ならない。
彼女たちは自ら提示した限界値を、自らの力で突破してみせた。

前作『サイレントサイレン』が“ガールズバンド”Silent Sirenのアルバムのであれば、
今作『S』は″バンド”Silent Sirenのアルバムと言うべきだろう。


これぞ「サイサイ」とも言うべき彼女達のカラーを極めたポップチューン「チェリボム」、
新機軸でもあるVo.すぅ作曲のマイナーコードの疾走感が夏の風を感じさせるエモロック「八月の夜」、
結婚するサイサイファンの為に書き下ろした自身初のマリッジソング「ハピマリ」、
Vo.すぅの実体験である同窓会に出席した際の落胆の気持ちをコミカルに描き切った「吉田さん」、
そしてDr.ひなんちゅがこの「吉田さん」と真逆の女性像を自身の葛藤と共に描いた「レイラ」など
全シングル曲クラスのナンバーが並ぶ強力な1枚だ。


Silent Sirenは「読モバンド」と華々しく紹介される反面、実は叩き上げのバンドである。
LIVEハウスとも言えないような小さなイベントスペースからそのキャリアをスタートさせ、
着々とそのステージを拡大させていき、ガールズバンド史上最速での日本武道館公演を成功させ、
ロックフェスにも参加し持ち前のキュートさとポップさで多くのオーディエンスを席巻、
そして自身最大キャパである横浜アリーナの公演も控えている。

彼女達は自身の最大速度で次々と夢を勝ち取ってきた、数字だけを見ればそうだろう。
しかしこれは見た目通りの単純なシンデレラストーリーではない。
読者モデルをはじめメディアでの仕事を続けながらも、バンドの鍛錬にも余念は無く
リリースの度に全国各地を回り、イベントを重ね、地道のその名を広めてきた。
ルックスの華やかさに付きまとう「本物のバンドじゃない」というイメージを払拭すべく、
全膂力の限りを尽くし、泥だらけになりながらも歩みを止めず、血だらけになりながらも
直進する事を止めなかった、他のバンドには想像もつかないような速度で走ってきたからこそ
実現してこれた今があるのだと思う。

「ロックバンド」という概念に「Silent Siren」という意志で真っ向から立ち向かい、
「本物のバンド」という世論に「本気」という覚悟で挑み続けてきた。
御幣を承知で言えば、Silent Sirenこそ最もバンドらしいバンドである、そう断言できる。

そして今一度問いかけたいのは「本物」というものの意義だ。
作詞、作曲をしれいれば本物なのか、本格的なロックをしていれば本物なのか。
彼女達の生き様は、その「本物」へ対しての挑戦であり、そしてアンチテーゼなのかもしれない。











ポップパンクバンドSeptaluck(セプトアラック)が4月20日にリリースとなる
2nd Mini Album『MEMORIES and FUTURE』よりリードトラックである
「It's All Right」のMUSIC VIDEOを公開している。

Vo.finのハイトーンボイスと、抜け感が最高なグッドメロディーを搭載した
セプアラサウンドを更にリファインした極上のポップナンバーに仕上がっている。



さて、ここからは本題とは異なる話だが、ポップパンクは日本で売れない。
というのはいささか言い過ぎではあるが。
改めて言及するような事はないがメロコアパンクシーンにおけるメインストリームである日本において
その時代を辿ってみても台頭するバンドが極端に少なかったポップパンクは市民権を得ていない所か、
そもそもマーケットとして未だに確立していない、というのが実情だ。


1990年代前半に日本の音楽シーンに台頭した、もはや名実ともに伝説のバンドであるHi-STANDARDは、
高濃度の熱量を誇るメロコア/青春パンクというジャンルでインディペンデントながらもセールス、そしてLIVE動員において
破格の記録を打ち立て、シーンにその旗を打ち立てたわけだが、
実はこのほぼ同時期とも言える1990年代前半に、このポップパンクというジャンルも海外で誕生し、
GREEN DAYやOFFSPRING等の台頭によって世界的なムーブメントを巻き起こしていたのだ。
この当時は外タレも集客力があったので、今よりもバンバン来日公演をしていただろうし
1990年代後半にはFUJIROCKも始まり、GREEN DAY等がヘッドライナーを務めた。


ポップパンクは日本に浸透するタイミングは多々あった。
それでありながらここ日本において、ポップパンクというジャンルがイマイチ浸透しなかったのは、
先に日本で市民権を獲得していたメロコアが我々日本人にとって「日本のパンク」という特別なものであって、
皆がメロコアに夢中になっていたという当時の空気感が全くの無関係ではないだろうと思う。

その証明というわけではないが、
日本で誕生したハイスタ等のメロコア由来のパンクバンドはポップパンクバンドの数に比べて圧倒的に多いし、
そこからメインストリームにリーチしたバンドの多くは往々にしてメロコア由来のバンドだ。

しかしこれは決してメロコアを糾弾しているわけではない。
実際現在日本でバンドを志している人の多くは確実にハイスタに影響を受けているだろうし、
実際にハイスタは私のような若輩者が語り切れないほど偉大なバンドだ。
あくまでポップパンクというジャンルが未だ日本に浸透していない事の理由付けとしての言及という事を
理解して頂きたい。私もメロコアはすごく好きです。


しかし最後に言いたいのはこのSeptaluckをはじめとするジャパニーズポップパンクの素晴らしさだ。
このジャンルが世界的に未だに根強い人気があるのにはそれ相応の理由があるし、
Septaluckが先陣をきって今なおポップパンクを鳴らしている事にも意味がある。
ジャンルの壁が無くなり、良いものは良いものとして認められる現在の音楽シーンだからこそ
改めてその良さを再提示する良いタイミングであると思う。

彼らは今回のミニアルバムでそれを再提示してくれると信じている