ネルソンス/ゲヴァントハウス管弦楽団演奏会
2019年5月28日(火) 19:00開演 @ サントリーホール

ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 op.77
(ヴァイオリン・アンコール)
ヴェストホフ:ヴァイオリン・ソナタ第3番〜第3曲「鐘の模倣」

チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64

(アンコール)メンデルスゾーン:序曲「ルイ・ブラス」

ヴァイオリン: バイバ・スクリデ
指揮: アンドリス・ネルソンス
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
=======================================================

ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲は4月のN響B定期でグルズマンと下野の切れ味の素晴らしい演奏を味わったばかりですが、昨夜の演奏はゆっくり目のオケの前奏に始まった重めのリズムの演奏でした。とても慎重にオケと合わせようとしているヴァイオリンを聴くともっと強く自己主張しても良いように感じられました。ネルソンス指揮はボストン響との交響曲のCDと共通して(?)わかりやすい演奏でしたが、LGOとショスタコーヴィチと言う組み合わせの音色、リズム感に違和感を感じました。
ヴァイオリンアンコールの曲は初めて聞く作曲家の小品。何となくヴィヴァルディの四季のフレーズを思い起こさせる作品だと思いながら聴きました(後から調べたところほぼ同年代の作曲家でした)。

後半のチャイコフスキーの5番はネルソンスの意図が十分に伝わったオケとの一体感のある演奏で楽しめました。2013年のバーミンガム市響との演奏に比べると遥かに引き締まった演奏でした。弦楽器パートの後ろの奏者まで自分達の音楽を聴いてくれと言うような胸を張った積極的な演奏態度は見ていて気持ちが良いものです(そして音もしっかり聞こえてきました)。

アンコールの前に客席に向かってネルソンスが長めのスピーチをしていましたがP席では殆ど聞き取れなかったのが残念。そしてアンコールの「ルイ・ブラス」はゆかりの深いメンデルスゾーンを弾くと言う絶対的な自信が伝わってくる名演でした。
 

N響第1914回定期公演Bプログラム

2019年5月23日(木) 19:00開演 @ サントリーホール

イベール/モーツァルトへのオマージュ
フランク/交響曲 ニ短調
サン・サーンス/交響曲 第3番 ハ短調 作品78

ネーメ・ヤルヴィ
鈴木優人 (サン=サーンス、オルガン)
NHK交響楽団

==============================================
久しぶりのパパ・ヤルヴイのN響との共演。私の記憶では
2014年4月のB定期以来ではないかと思いますが、今回も前回と同様にアクの無いサラーっとした演奏に感じました。

サン・サーンスではP席で前面のオケと背面のオルガンの響きに前後から満たされるという珍しい経験が出来ました。これは楽しかったです。鈴木さんですがバッハ・コレギウム・ジャパンでバッハばかりを聴いているせいかオルガンを聴きながらバッハを感じてしまったのは私自身の思い込みのでしょう(笑)

N響 第1911回 定期公演 Bプログラム
2019年4月25日(木) @ サントリーホール

ショスタコーヴィチ/
  ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77 
ヴァインベルク/
  交響曲 第12番 作品114「ショスタコーヴィチの思い出に」

ワディム・グルズマン (ヴァイオリン)
下野竜也 (指揮)
NHK交響楽団
=======================================================

演目のせいか空席が目立つ演奏会でした。7割程度の入りか?

グルズマンと言うヴァイオリンニストの演奏を初めて聴きましたがとても素晴らしいソリストでした。シカゴのストラディヴァリウス協会から長期貸与されたという1690年製の「エクス・レオポルド・アウアー」の骨太で艶やかな音色に魅了されました。2楽章 スケルツォ:アレグロのリズム感の良さと高揚感。思わず拍手をしてしまいそう、、、何とかこらえました(笑)3楽章の長いカデンツァは勿論の事、大好きなショスタコーヴィチの協奏曲を堪能しました。アンコールを弾かなかったのも良かった。あれだけの名演奏の後ではアンコール無しで余韻に浸る方が幸せです。泥臭さが感じられないオケの響きはいかにもN響らしく感じました。

後半のヴァイオンベルクは初めて聴く一時間弱の長大な交響曲でした。残念ながら私には印象に残らない曲でした。ショスタコーヴィチでもそうでしたが、下野さんは時折顔を上げてオケにサインを出しますが、スコアを食い入るように見ながらの指揮。

 

受難節コンサート2019 マタイ受難曲
第132回BOJ定期演奏会
2019年4月21日(聖金曜日)18時半開演 @ 東京オペラシティ

J. S. バッハ/《マタイ受難曲》 BWV 244

指揮:鈴木 雅明
エヴァンゲリスト(テノール): 櫻田 亮
ソプラノ: キャロリン・サンプソン、松井 亜希
アルト: ダミアン・ギヨン、クリント・ファン・デア・リンデ
テノール:ザッカリー・ワイルダー
バス: クリスティアン・イムラー、加耒 徹

合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
=======================================================

私にとって3回目となった聖金曜日のバッハ・コレギウム・ジャパンによるマタイ受難曲の演奏会。前回はとても感動したとの記事を書きましたが、今回は異なりました。冒頭の合唱が始まってもワクワク感が湧き上がってきません。第2部冒頭の冒頭のオケも同じ。イエスの死に向かって演奏は激しく盛り上がりますが、私には単調に聞こえました。桜田さんも今まで以上に激しいエヴァンゲリストだったような。
その後の「十字架降架と埋葬」、「哀悼と安息」になっても穏やかな気持ちになれなかった。合唱の人数が少ないせいか声の張り上げ(?)が気になったせいかもしれません。ゆったりした演奏に身を浸したい、、、そんな気持ちになった演奏会でした
(演奏はとても立派な演奏だったのであくまでも個人の感じ方です)。

今回は開管のパイプによる特注の可搬出来るオルガンを使用した演奏と言うのがポイントとの解説がありました。細かいことは分かりませんが開管のパイプだと自然界に存在する自然倍音律が全て聞こえるとの事(ちなみに閉管のパイプでは偶数倍音が消えてしまうとの事)。演奏会が始まる前から何となく良い音がするような気がしてきました!(^^)!
実際の演奏でも今まで以上にオルガンが前に出て活躍しているように思えました、、、

今回20年ぶりにマタイ受難曲を再録音するとの事。新しいオルガンも再録音で聴くことができるようです。

 

グスターボ・ドゥダメル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニック
〈創立100周年記念ツアー〉

2019年3月22日(金) 19:00 開演 @ サントリーホール

マーラー:交響曲第9番 ニ長調

指揮:グスターボ・ドゥダメル
ロサンゼルス・フィルハーモニック
====================================================

数年ぶりにドゥダメル、ロスフィルのマーラーの演奏会を聴きました。前回はハンマーの真後ろで聴いた6番。振り下ろされるハンマーにの衝撃を間近で受け止めた経験は今でも思い出されます。

前回の演奏は覚えていませんが、今回の9番は純粋に譜面を再現することに徹しているように思えました。いかにもドゥダメルとアメリカのオケと言う印象。あっさりと進むので「ここはもっと思い入れを、、、」等など思いが頭をよぎりましたが、このオケの素晴らしい響きを堪能しました。前回は分からなかったのですが自分が思っていた以上に素晴らしいオケでした。明るい軽めでスマートな響きは、以前同じ2階センター最後部席で聴いたシカゴ響の耳をつんざくような響きと全く異なり同じアメリカのオケなのにその違いがとても興味深かったです。
肝の4楽章、聴いているときはそれほど感動しなかったのですが、演奏終了後のドゥダメルとオケに拍手をしているうちに「良い演奏だったなぁ」と言う気持ちが自然に湧いてきた演奏会でした。

ドゥダメルの術中に嵌ったのか(#^.^#) オケに紛れて挨拶をするドゥダメル、指揮台の上で観客を睨め回すティーレマン、お二方は両極端(笑)

演奏会に全く関係ないですが、ブルーレイで観たボストン響の小澤征爾との最後の演奏会の9番は感動的だったなあと演奏会の後 急に頭に浮かんできました。