「徹底図解 社会心理学―歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで」 | Jiro's memorandum

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泉治郎の備忘録 読書の感想や備忘録 ※ネタバレ注意
【経歴】 日本株アナリスト、投資銀行、ネットメディア経営企画、教育事業経営、人材アドバイザー、新聞社経営管理、トライアスリート

★★★★☆


山岸俊男氏監修ということで読んでみた。
結構参考になりました。心理学って重要ですね。



備忘


■集団的浅慮

みんなで決めると個人の決定よりも劣る決定がなされる傾向がある。
個人よりも集団で決定するときの方がリスクの高い決定をする傾向がある(リスキー・シフト)。集団だと無難な決定をしそうだが実験では逆の結果。
みんなで議論しているうちに自信過剰になってくる、反対意見を言いにくい、他人に責任転嫁できるので真剣に考えない、などが背景。


■心理的拘泥現象

その決定が間違っていたことがわかっても、合議に関わったプライドや投入した労力を無駄にしたくないので合議内容を正当化し執着する。


上記2つはまさに太平洋戦争に至る意思決定に見られた現象。企業の不祥事や戦略の失敗なども、これらが背景にあることが多いでしょう。また、リスクの高い決定をする傾向があるといっても、みんなでコンセンサスを取る意思決定ではイノベーションは起こせません(参照「イノベーションとは何か」)。やっぱり、重要なのはリーダーシップですね。


■アンダーマイニング現象

動機には外発的動機(報酬)と内発的動機(好き)がある。
進んでやっていることに外的な報酬が与えられると(過度の適正化)、やる気を損なわせる場合がある。
好きで絵を描いている子供に入賞の賞状をあげたら絵を描く時間が短くなった。


■ピグマリオン効果

予言の自己実現。期待されると期待通りに物事が成就する。
"デキる人だ"、"○○銀行が危ない"、など、実際にそうなる。

「役職が人を作る」、というのもこの効果か。




このほか、多数の現象や実験が紹介されています。
山岸氏の好きな信頼の実験なども。


※参照
「リスクに背を向ける日本人」

「ネット評判社会」
「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」





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